国会でも「除染1ミリシーベルト」に関する質問が出るなど、除染基準について話題になっていた頃だ。専門家の間でも「除染基準はこのままでよいのか」という疑問の声と「住民の方々が納得するまで徹底的に除染すべきだ」という意見が飛び交っている中で、細野幹事長の率直な意見を聞きたいと考えた。なぜなら、細野幹事長は環境相時代に「1ミリシーベルトを目標とする」「1ミリから5ミリについてもやる」と言っていたが、今年3月には自身のblogで「1ミリは健康の基準ではない」と発言を大きく翻していたからだ。
そもそも、「1ミリ」という基準はどのような経緯で決まったのか。
「1ミリは健康の基準ではない」と書いている今は、この基準は撤回すべきだと思い直したのか。
福島原発の汚染水の処理が問題となっているが、どう処理すべきだと考えているのか。
今年に入ってから「手抜き除染」が明らかになっているが、それについて、どう思うのか。
という質問事項を書面で送付したのだった。
誠意ある対応を期待していたが、当初は「5月中旬までは時間がなくて無理」という返事だったので、それなら翌月号に延ばしてでも話を聞きたいと再度お願いしたところ、散々返事を引き延ばした挙げ句の「お断り」の返事だった。それも再三にわたって、連絡を入れた末にようやくだ。理由を聞くと、「時間の都合がつかない」。野党第一党の幹事長ともなればそれほど多忙を極めるのか、誰か教えてほしいものだ。
そもそも、質問内容は、このように国民生活に大きく影響するものだった。自民党の高市早苗政調会長の「原発再稼働」をめぐる発言に、細野幹事長は、福島県内の震災関連死者数が1400人近くいると指摘した上で、「政権を担う資格がない。政調会長失格だ」と強く非難したが、それならばなぜ避難民の去就に直結する「基準1ミリシーベルト」の質問に対して、ペーパーですら答えられないのか不思議でならない。
さて、蛇足ではあるが、党内で最近の細野幹事長の評判を聞いたところ、次のような言葉が返ってきた。
「彼の無責任さにも困ったものです。発言は二転三転する。行動は行き当たりばったり。役員室の職員だけでなく、新人議員も振り回されています。当選5回の41歳の“ひよっ子”に、野党とはいえ第二党の幹事長など務まるはずもなかった」(民主党中堅議員)
もちろん、細野幹事長のことだ。「政治家たるもの批判は甘んじて受けます」と、度量大きく受け流すと信じている。
(文=横田由美子/ジャーナリスト)