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六代目山口組による切り崩し工作が最終局面か…尼崎でも「大物幹部」が移籍、緊張感高まる

文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部
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六代目山口組による切り崩し工作が最終局面か…尼崎でも「大物幹部」が移籍、緊張感高まるの画像1六代目山口組サイドに移籍したとされる琉真会本部

 7月半ばから、六代目山口組サイドで作成されたと思われる移籍報告書が業界内で頻繁に飛び交うようになった。袂を分かってきた神戸山口組任侠山口組から、六代目山口組に移籍した組幹部や組員の名を関係各所に知らしめる内容だ。

 移籍が活発化しているのは、当サイトでも既報(【参考記事:「六代目山口組、他陣営の切り崩しを活発化」】)の通り、離脱した組員らに対し、六代目山口組に復帰できる期間を8月までとしたからだとみられている。期限が押し迫った現在、六代目山口組サイドによる切り崩し工作は追い込みを迎えているのだろう。

 特にここ最近では、拡散されている移籍報告書に記される名前にも注目が集まっているという。それは、有力二次団体で過去に若頭を務めた最高幹部や武闘派で名を馳せた幹部らの名前が記されているからだろう。相次ぐ“大物”たちの六代目山口組への移籍について、神戸山口組関係者はこのように話している。

「神戸山口組内部では、実際には特段の変化はない。移籍報告書だけを見ていると、確かにインパクトはあるかもしれない。だが実情としては、ほとんどが組織単位ではなく、個人による移籍だ。神戸山口組の全体の組員数もたいして変わっていないのではないか」

 そうしたなかで現在、筆者の地元、兵庫県尼崎で話題となっている移籍があった。それは山口組の名門、古川組を初代の時代から支え、現在は神戸山口組傘下に籍を置く大幹部が、六代目山口組の直参である三代目司興業へと移籍を果たしたことだ。

 司興業といえば、六代目山口組・司忍組長を初代とし、六代目山口組の保守本流とされる三代目弘道会傘下から直参へと昇格を果たした組織。今回、その三代目司興業へと移籍したのが、第4次沖縄抗争で名を馳せ、初代古川組へと加入を果たした琉真会初代会長だというのだ。

 現在、神戸山口組傘下にある古川組で三代目を務める組長も、三代目琉真会会長を務めた後に、古川組の三代目を継承している。そうした流れの中にいた幹部が、六代目サイドに身を転じたわけである。注目を浴びている理由はそれだけではない。

「三代目古川組では、その琉真会本部事務所を自身の本部として活動していました。それが、琉真会初代が司興業に移籍したことで、使用できなくなったという話です。代わりに、名古屋を拠点とする司興業が尼崎に入ってくるのではないかと、一時緊迫していたと聞いています」(ジャーナリスト)

 そうした事態に備えて、神戸山口組の一部組織では尼崎で待機がかかったようだという噂も流れ、その情報をいち早く掴んだ捜査当局では、琉真会本部前にパトカーを停車させるなどして両者の衝突に対して警戒を強めていたのは確かだ。

 尼崎では今年3月、それまで神戸山口組三代目古川組で総裁を務めていた古川恵一幹部が、六代目山口組系組員に襲撃され、その後に三代目古川組総裁を辞任している。

 そんななかで起きた、初代古川組から武闘派組織として鳴らしてきた琉真会初代の六代目サイドへの移籍。そのほかにも尼崎市内には、神戸山口組から任侠山口組が割って出た際、同じく分裂した古川組の一方の勢力、任侠山口組傘下の二代目古川組も並行して存在しているのだから、いやが上にも緊張感は高まる。

 今後も六代目山口組では、神戸山口組への切り崩しを強化させていく可能性が高い。そこには摩擦も生じるであろうし、それが新たな火種へと化すことも十分に考えられる。昔から「ヤクザ社会の間違い(抗争)は、8月に起こる」といわれ続けていた。現に今につながる空前絶後の六代目山口組の分裂も、まさしく3年前の8月に起きているのだ。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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