私「このポテトサンド、ハムが入っていないのに亜硝酸の表示があるのは、なぜですか」
店員「わかりません」
新幹線の駅のホームにある売店で、出来たてサンドイッチを購入したときの出来事です。
私「なぜ普通のポテトサンドに亜硝酸が入っているのですか」
店員「……」
私「ハム以外には亜硝酸は使用できないはずですが」
店員「……」
私「このサンドイッチの販売を続けるのですか」
店頭で、食品の裏にある一括表示(四角い枠で囲まれている表示)をよく見ると、使用してはいけない添加物が表示されていたり、アレルゲンの表示漏れなどが散見されます。
発色剤(亜硝酸ナトリウム)、発色剤(亜硝酸Na)と表示される亜硝酸は、塩のような白く細かい添加物で、ごく少量でも直接食べてしまうと、死に至る可能性のある添加物です。食品工場で取り扱うときには、取扱量を毎日記録し、保存場所は施錠するなどの管理が必要な危険物です。
亜硝酸を肉に使用すると発がん性物質が生成されるといわれ、使用されているハムなどの畜肉加工品(ハム、ソーセージなど)を避けている方もいます。
そんな亜硝酸は、使用量および使用できる食材が法律で決められています。畜肉加工品は、最終的な残存量が70ppm以下(ppmとは100万分の1)であることが定められています。
畜肉加工品が多く販売される11月、12月には、保健所で収去し、残存亜硝酸量が検査されています。一般的な添加物には使用量の制限はなく、調味料や着色料の添加量を増やせば、味、色をいくらでも濃くすることができます。
亜硝酸の使用が認められている食材は、畜肉加工品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、いくら、すじこ、たらこで、これら以外には認められていません。もちろん、ポテトサラダにも認められていません。
亜硝酸を使用することで、肉のくすんだ色から、ハム、ソーセージの独特の綺麗な色に肉食が変化し、ハム独特の香りがします。
また、最強の食中毒菌のであるボツリヌス菌を抑制する効果があり、畜肉加工品には欠かせない添加物です。
食品は、安全に保存でき、見た目、風味が大切です。色が綺麗に見えない、風味も無い、発色剤無添加のハム加工品と、発色剤を使用しているハム加工品を食べ比べてみると、見た目も風味も段違いです。
使用量が定められている添加物を避けるのであれば、ハム加工品をはじめ、いくらなども食べるべきではないでしょう。
食品添加物は、適正に使用することで、使用した食品の安全性を増すことができ、風味、色、味などがおいしくなるので、販売する側、消費者とも正しい知識を身につけてほしいものです。
(文=河岸宏和/食品安全教育研究所代表)