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今回のロンドンの件でも、機長2人が副操縦士の検査に疑いを持ちつつ見過ごしたのは、会社の対応を予測していたからではないか。つまり当該副操縦士を乗務から外せば、2人だけで交代乗員のいない長距離フライトをせざるを得ない、会社は交代要員の手配や当該副操縦士のアルコールレベルが下がるまで便の出発を遅らせるなどの措置をとるはずがないと、考えていたのではないか。2人の機長は問題を知りつつ、離陸さえすれば、あとは時間とともに酔いも冷めていくと安易に考えていたのではないか。
ロンドンの事件翌日に、ANAグループの会社でも事件が起きた。会社は出発前に当該機長から体調不良と申し出があったため便の出発を遅らせたと公表した。しかし実際には、宿泊先のホテルから機長の行動に疑義があるとの一報を受け、会社が調査したところ、大量の飲酒をしていたことが発覚したといわれている。これが事実だとしたら、会社は意図的に機長の不祥事を隠ぺいして、自己申告というまったく別のストーリーにしようとした悪質性が問われることになる。
パイロットが口を揃えて不合理という「12時間規定」
航空会社が飲酒状態での乗務を防ぐために行ってきた方法は2つある。それはJALとANAが行っている、乗務前12時間以内の禁酒と空港での呼気検査である。この12時間という内規定は、他の多くの航空会社も採用しているが(8時間とする会社もある)、現場の乗務員からはかねてから不評で合理性なきルールといわれてきた。
たとえば朝8時に出発する便に乗務しようとすると、前日の夜20時を過ぎるとアルコールを一滴も飲んではいけないことになる。普通の夕食の時間にビール一杯はおろか一滴も口にしてはならないのである。せめて国土交通省が各航空会社に出した通達のように、乗務前8時間を限度としてくれたらと思っているパイロットは多い。
私自身もしばしば時計を見ながら食事をしたことがあるが、これでは逆にストレスが増したり、寝つけなくなる人もいるのではと感じていた。そのため、アルコール好きのパイロットはロンドンのケースのように12時間以上前に大量に飲酒したり、CAたちと一緒に食事をせず部屋でこっそり飲酒をするパイロットも出て、逆効果の一面もある。
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