世界中で密かに中国批判の“検閲”が浸透…中国、海外でも現地メディア利用し言論操作

配信から数時間で削除されたコラム

 メディア戦略はもちろん放送やデジタル分野でも精力的に繰り広げられている。特にそれが顕著な地域がアフリカだ。

 政府と密接なつながりを持つ中国のメディア企業スタータイムズ・グループは、2002年からアフリカへ進出。中国はその後押しを通じてアナログからデジタル放送への移行を促すとともに、衛星打ち上げ、光ファイバー通信網やデータセンターなどのデジタルインフラ網整備に力を注いできた。

 スタータイムズ・グループは現在、アフリカ30カ国で事業を展開。現地企業を押しのけ、サブサハラ地域でもっとも有力なデジタルテレビ企業の地位を確立した。一方でガーディアンによるとガーナの独立放送連盟は昨年9月、同国の放送が中国のコントロール下に置かれる可能性について懸念を表明したという。

 中国の資本と影響力はアフリカの各メディアに浸透している。昨年9月には南アフリカで中国批判の記事が自己検閲された、という問題が提起された。

 舞台となったのは南アフリカ第2位のメディア企業、インディペンデント・メディア社が複数の新聞に供給するコラム。同国のジャーナリストがウイグル問題をめぐって中国を批判するコラムを寄稿したところ、電子版の掲載から数時間で削除された。さらに翌日、「紙面のリニューアル」を理由にコラムそのものが廃止されたという。問題を指摘したジャーナリストは、親中メディアによる自己検閲が今後さらに進むとの懸念を示している。

プロパガンダのマネタイズ

 ガーディアンはさらに、習近平の時代になって中国のメディア戦略がビジネス化していると指摘する。抜け目ない中国のビジネス界が、国営メディア企業との提携、海外エージェントの支援などを通じて、プロパガンダのマネタイズに乗り出しているというのだ。

 その顕著な例の1つとされるのが、アリババ創業者ジャック・マーによるサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の買収。SCMPは1903年創刊の歴史ある香港の英字紙だ。マーは習近平と近い関係にあることでも知られている。

 買収後の16年、同紙は警察に拘束されていた人権活動家の「自己批判」を掲載。また2018年2月には中国で拘束された香港の書店経営者をめぐり、中国政府がお膳立てしたインタビューを掲載して批判を浴びた。

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