V.Iも芸能活動のかたわらラーメン店のフランチャイズ事業や複数の高級クラブ経営を手がけたほか、VR(バーチャルリアリティ)、化粧品、人材派遣、バイオなど手あたり次第に投資していた。バーニングサンでは1億ウォン(約1000万円)の高級シャンパンセットを売りにしていたというから、いかにも江南らしい話だ。
警察との癒着疑惑を発端にスキャンダルが拡大
そのバーニングサンで些細な暴行事件が起こったのが、昨年11月のこと。店内で乱暴される女性を助けようとした青年が店員から袋叩きにされた上、警察が自分を暴行犯に仕立てあげたとネットで告発を始めたのだ。
防犯カメラの映像からネット世論は青年の訴えを支持し、バーニングサン側は謝罪。だがトップスターが経営するクラブと警察の癒着疑惑に人々の関心が集中し、メディアがこれに応えるかたちで次々と新たな疑惑が吹き出していった。
バーニングサンと警察の癒着について初めて掘り下げたのは、今年1月28日のMBC報道。続いて2月26日、SBSが独自入手したというV.Iのカカオトークでのやり取りをスクープする。そこにはV.Iが自ら海外投資家への性接待を指示するとみられる内容が含まれており、一気に大スキャンダルに発展した。SBSではすでに2年前から盗撮映像の噂を聞きつけ、独自に取材を続けてきたという。
タントクパンのデータ登場でV.I側が降伏
V.I及び所属事務所側は当初こそ「フェイクニュース」「法的対応も辞さない」と強気だったが、3月に入ると一転して白旗を揚げる。ある弁護士が匿名の情報提供者から前述のタントクパンの記録を入手し、これを11日に国務総理直属の国民権益委員会に通報したためだ。国民権益委員会は検察庁にその捜査を依頼し、癒着が疑われる警察の頭越しに事態の解明が始まるかたちとなった。同日にV.Iが芸能界引退を表明したのは、すでに触れた通りだ。
4月14日現在、V.Iは以下の容疑で立件されている。性接待=売春斡旋、違法な映像の流布、経営するクラブを脱税目的で一般飲食店と偽った食品衛生法違反、そして同じくクラブの資金を着服した業務上横領だ。また警察との癒着を通じた摘発逃れ、タントクパンのメンバーに携帯電話を処分するよう指示した証拠隠滅などの疑いも持たれている。そのほか2014年に起こした交通事故でも警察が飲酒運転を隠蔽した可能性が指摘されるなど、疑惑の噴出が収まらない状態だ。