JAF、ガソリン高騰で政府に抗議…税制の「不可解な仕組み」解消を要望

　レギュラーガソリンの全国平均価格が2週連続で値下がりした。政府が今月7日から石油元売り各社に支給する補助金を増やしたことで、1リットル当たり24円下がり、182円となった。

　ガソリン価格は8月末、15週連続の値上がりによって、全国平均で1リットルあたり185.6円にまで上昇し、現在の方法で調査を開始した1990年以降で最高値を更新。石油原産国の減産などによる原油価格の高騰や円安の影響で、ガソリン価格は上昇が続いた。さらに、政府が石油元売り各社に支給している補助金を、今年1月から段階的に縮小したことで、値上がりを抑制する効果も弱まっていた。

　そんな状況を見て岸田文雄首相は、9月末までで廃止する予定だった補助金を、ガソリン価格が1リットルあたり175円程度に抑えられるように再拡充する方針を明らかにした。

　ガソリン価格の高騰を受けてJAF（一般社団法人日本自動車連盟）は、「ガソリン税等に上乗せされ続けている『当分の間税率』を廃止すべき」「ガソリン税に消費税が課税されている『Tax on Tax』という不可解な仕組みを解消すべき」との声明を発表した。

　JAFはこれまでにも政府や行政機関である関係省庁に対し、自動車税制の改正などに関する要望書を出し続けてきた。今回、あらためて声明を発表した意図を聞いた。

――「当分の間税率の廃止」と「Tax on Taxの解消」を求めた意図をお教えください。

JAF「JAFでは、これまでも過重で複雑な自動車税制について、その負担軽減の実現を訴える活動を行っています。今回はガソリン価格が過去最高を記録するなどその高騰を受け、8月31日に声明を発表いたしました」

――貴法人はこれまでにも同様の要望を出していますが、要望が聞き入れられていない状況にかんがみて、打開策などは検討していらっしゃいますか。

JAF「まず、声明発表や毎年実施している要望活動のように声を上げ続けていくことが重要だと考えております。そのうえで、JAF単体だけではなく、JAFも参画している自動車税制改革フォーラム（自動車関連21団体で構成）は、自動車総連（全日本自動車産業労働組合総連合）と連携をさらに強化し、自動車ユーザーの過重な税負担軽減の実現を訴えるために活動したいと考えています。今年度は全国各地で実施する街頭活動を４年ぶりに再開する予定です（新型コロナウイルスの影響で中止していました）。

　また、『自動車税制改正に関する要望書』を用いて全国の国会議員をはじめ政府、関係省庁、自治体へ要望しています（JAFの税制改正に向けた要望書は例年、自動車ユーザーを対象とした『自動車税制に関するアンケート調査』の結果を基に作成）。

　ほかには、SNS等の活用により広く国民のみなさまに過重で複雑な自動車税制の仕組みについて知っていただき、企業・団体だけでなく約2000万人の会員を抱えるユーザー団体として、切実な自動車ユーザーの声で改正の動きを喚起し、納得できる公平・公正・簡素な税制の実現を要望し続けていきたいと考えています」

――SNSなどでは、貴法人の声明を応援する声が多くあがっていますが、たとえば、自動車メーカーなどの業界と協力して政府に働きかけるなどの対策はあり得るでしょうか。

JAF「JAFでは上記の『自動車税制改革フォーラム』に参画しており、全国各地において、自動車ユーザーの過重な税負担軽減の実現を訴えるために活動しています。引き続きこれらの団体と連携し、強く訴えてまいります。また、活動状況を世間に知ってもらうためのPRも重要だと考えておりますので、そのあたりも踏まえて、関連団体と協議していきます」

――国民民主党の玉木雄一郎代表も二重課税などに対して異議を唱えています。協力体制を敷くことはあり得るでしょうか。

JAF「玉木代表と私どもとでは、共通点もありますが訴える内容が異なるため、現状では検討しておりません」

　補助金の効果もあってかガソリン価格の上昇は落ち着いたように見えるが、まだ下がる気配はない。ガソリン価格は国民の生活に直結するだけに、政府はJAFの要望を真剣に検討してほしいところだ。

（文＝Business Journal編集部）