日本人は太古から、山の頂や森林、動物や衣食住の物といったあらゆるものに、神の存在を感じてきた。実は身近な存在である日本の神様、神社に関して知らないことも多いのではないだろうか。『知れば知るほど面白い日本の神様と神社』(武光誠監修、宝島社刊)では、日本の神様、神社と神道について日本人ならぜひ知っておきたい基本を紹介している。
神社は「神様の宿泊施設」
お参りしに行く神社だが、そもそもどんな場所なのか。神様は普段、人間が住む場所とは違う別世界に住んでいると太古の日本人は考えていたという。たとえば、八百万の神々の中でもその最高位とされる天照大神は、天つ神の住む天上世界である高天原に住んでいた。
その神々が人間世界に降りてきたときに地上で快適に過ごしていただくために造られたのが神社である。いわば神社は、神様の宿泊施設のようなものなのだ。
では、人間に神社を造る技術や知恵のなかった大昔は、神様はどうしていたのか。神社がなかった頃には、大きな岩や大木などに宿り、地上に留まっており、それらは「依り代」と呼ばれた。古代のお祭りは依り代の周囲で催され、神様の降臨を喜び祝う風習が、後に「お祭り」として定着する。
鳥居は何のためにある?
神社を造る意味は、神様に快適に過ごしていただくこと。住み心地が良ければ、長居もしてくれる。神様の存在を近くに感じることが人間にとっては最高の幸福だったという考えから、神様に気持ちよく住んでいただくため、神社やその周囲の神域はいつも清潔に掃き清めておかないといけない。そこで神様のお世話をするために、神社には神職が常駐するようになった。
また、神社には鳥居があるが、これは一体何のためにあるのだろうか。その説としては、神様を祀った神域、その入口の目印になるものとして鳥居が設置されたというものが有力だという。つまり、人間の住む世界と神様が住む世界の境界を示す目印のようなもの。鳥居は神様が住む清浄な神域に、穢れたものが侵入することを阻む玄関口で、防衛装置でもあるのだ。
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自分は無宗教だと考えている日本人は多いが、七五三や初詣、節句などの四季の移ろいを感じられる行事など、実は日本人の生活の中に神道の考え方は根付いている。また、御朱印集めが趣味という人も最近は多いだろう。
そんな身近な神社や神様について、本書からその基礎知識を学んでみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。