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織田直幸「テレビメディア、再考。」第2回

放送と通信の融合? 津田大介が見た、あるNHK番組の可能性

文=織田直幸
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 歪んだプライドに加えて、原発報道で露呈した素朴な身内保護意識……この体質、どっかと似ているなあと思ったが、「それって東電じゃん」と、すぐに気づいた。
 
 テレビ局って、実は東電と似てたということか。

テレビメディアの“体質”が変わるために

「リーマンショック以降、何百億円という単位で黒字を出していた民放テレビ局が、非常に厳しい状況になってきた。いわば、“わが世の春”を謳歌してきた2000年代初頭のテレビ局の姿は、今や見る影もない。民放各社も放送外収入に力を入れてるようなことをやらなきゃいけなくなっている中、テレビが面白い番組を作れていないし、ネット時代になったことで、たぶん本当に視聴者が見たいものとテレビ制作側の作るものがずれてきちゃっているように感じる」

 津田さんは民放の厳しい状況をそう説明した。

 そんな中で、前述したテレビメディアの体質は、変化しているというより、さらにより悪化しているようにすら思える。

 津田さんはそんなテレビにどうして出演しているんだろう。

「僕が今テレビに出ても、もうツイッターのフォロワーが増えたりすることはない。でもテレビに出ることで、今まで自分の声が届かなかった人に届けることができる」

 著作『情報の呼吸法』の中でも、津田さんはこんな風に書いている。

「一つだけ確実に言えるのは、情報格差が生死に関連するような状況を今回の震災と原発事故がもたらしたということなのです」
「どんな人にも正しい情報が行き渡るようにするのがメディアの責任だと思う」

 ツイッターで瞬時に20万人へダイレクトに個人発信ができることは凄い。しかし、その20万人は一定のネットリテラシーをもった人に限定される。一方、テレビでは人をほとんど区別することなく何千万人単位への情報発信が可能だ。

 しかし、昔から続くテレビ局側の発想だけでは、もはや現実に追いつけない。テレビとネットの持つそれぞれの優れた部分を“融合”させていくことで、今必要なメディアを作れるのではないのか。そのためには具体的な番組作りに参画していこう。

 津田さんはそんなことを考えてテレビに関わっているように思えた。

 津田さん自身は番組のことをこう評した。

「25分という短い時間の中ではなかなかネットの双方向性を十分に活かすことはできないですが、それでもニュース番組としては新しい意欲的な取り組みをしている番組だと思います。秋以降も続くみたいなので、いろいろなネットサービスと連携する新しい展開とかも考えていきたいです」

 ある層の人々からは確実にその信を失いながらも、いまだに強力なパワーを保持し続けるテレビメディア。津田さんはこの力を何とかネットと接続させることで、より意味のある力へと変換しようとしているようにも見える。

 様々なテレビ番組制作者にソーシャルメディアをコアとする連動方法を伝え、今まで幾つもの番組を実現させているのがその証拠だ。

 “放送と通信の融合”という、使い古され輝きを失ったフレーズがある。

 今回、津田さんが関わっている『NEWS WEB 24』では、この“放送と通信の融合”が今またその形を変え、静かに現在進行形で行われている。

織田直幸

織田直幸

株式会社ゼロ社・代表取締役。プロデューサー/編集者

2012年8月、㈱カンゼンから書き下ろし小説、テレビメディアの崩壊と再生を描いたアクション小説『メディア・ディアスポラ』が上梓された

メディア・ディアスポラ

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Twitter:@aikidouzuki

『メディア・ディアスポラ』 織田氏しか書けないテレビメディアのリアル amazon_associate_logo.jpg

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