そして、上記和解に則り、朝日新聞は本日4月17日付朝刊経済面にて「訂正・謝罪文」を掲載するに至りました。
朝日新聞が「訂正」した内容は、概ね以下のとおりです。
・「ワンマン理事長“暴走”」「社福法人の私物化」「親族から備品購入」の見出しをすべて取り消し。
・「土地の使い方を理事会にはかった形跡はない」は、「土地を基本財産とするかどうかを理事会で明確にするように川崎市から指摘された。理事会では承認していた」と訂正。
・「理事長の報酬の増額について明確な規定も理事会の承認もなく」は、「理事長の報酬に関する規定を明確にするように川崎市から指摘された。理事会では承認していた」と訂正。
・「ひまわりの会が照明器具を理事長の親族の会社から購入した」は、「理事長の親族が社長を務める会社が、理事長の紹介で、以前、理事長が監査役を務めていた会社に照明器具を納めた。ひまわりの会が購入したわけではない」と訂正。
さらに、朝日新聞は「謝罪文」の中で、「事実関係の確認が不十分で、正確に記述しなかった」ことが今回の誤報の原因であるとしました。
●朝日新聞の勝手な「希望」
ひまわりの会の代理人弁護士として、朝日新聞の取材の段階から立ち会ってきた立場から今回の事件を総評するに、やはり「記者のおごり」が最大の原因と考えざるを得ません。
前出・当サイト記事にもコメントしましたが、朝日新聞の取材の後、ひまわりの会が提出を予定していた「理事会議事録」やその他の資料を確認すれば、ただちに「土地の売買に関する理事会決議」や「理事長報酬を決定する経緯や理事会決議」の存在が明らかとなるわけですから、本来、「理事会にはからずに土地を転売した」「理事会の承認を得ずに理事長報酬を8倍にした」などといった誤報はあり得なかったわけです。
繰り返しますが、朝日新聞が、ひまわりの会が予定していた資料の提出をわずか数日でも待てば、ひまわりの会や理事長は名誉を傷つけられることもなく、ひまわりの会の関係者、入居者、そのご家族などが心配することはありませんでした。
結局、朝日新聞の特集『報われぬ国』において、記事の構成、方針として一度「社会福祉法人が私物化されている」ことをテーマに決めてしまった以上、これに反する事実があっては困る、そのような資料はなかったことにしよう、掲載日も決まっているから今さら止められない、といった朝日新聞の勝手な「希望」が先行してしまい、結果、なんの落ち度もない者が泣きを見るということを招来しています。
「都合の悪いことは見えなくなる」とは、人間誰であっても内在することと思います。しかし、報道に携わる者、その報道の影響力を知っている者こそは、今一度、自らが公表・報道しようとする事実の裏付け、客観的資料の確認をすべきと考えます。
(文=弁護士法人AVANCE LEGAL GROUPパートナー弁護士・山岸純、横浜支部長・豊田進士、弁護士・森惇一)
●弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP
東京、大宮、大阪に拠点を持つ、法律のスペシャリスト弁護士法人。特に企業法務全般、交通事故・医療過誤等の一般民事事件、および離婚問題・相続問題等の家事事件に強みを持つ。また、無料法律相談も常時受け付けている。