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上昌広「絶望の医療 希望の医療」

小保方本で批判の若山教授、反論できない理由…責任取らず科研費の受領継続、管理能力に問題

文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授

 ちなみに、12年3月末、加藤茂明・東京大学分子細胞生物学研究所教授(当時)は、責任著者として発表した複数の論文のデータの扱いに不適切な処理があったことへの監督責任を取って、東大教授を辞職している。

 なぜ、加藤氏と若山教授の扱いが、こんなに違ってしまうのだろう。それは、研究者、とくに管理職としての「矜持」だと思う。加藤氏は、この問題の責任を取った。若山氏には、まったくその気はない。このような背景を考慮すれば、小保方氏が「裏切られた」と感じるのもわかる気がする。

 研究者の中では「小保方悪玉論」「若山被害者論」が根強いが、筆者は賛成できない。小保方氏は研究者としての基礎的素養に問題があった。一方、若山氏に問われているのは、その管理能力だ。この点について、若山氏は責任を取る必要があるし、管理職として、社会に説明する必要がある。頬被りを続け、手前味噌なことばかりやっていると、研究者全体が社会の信頼を失う。
(文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授)

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
医療ガバナンス研究所

Twitter:@KamiMasahiro

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