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「(県民健康調査の)基本調査票の回収率を20%から50%に上げる、子供たちについては今後、フォローを続ける。これが我々に求められる役割」
「地元の方々から大学に来ている要望は、100%以上満たしています。しかし、それだけでは問題解決にはならない」
「“医療崩壊”の原因、医師不足にあらず」
筆者はこの発言を読んで開いた口が塞がらなかった。15年末現在、基本調査票の回収率は27.4%だ。福島県の地元から福島医大に寄せられている医師派遣の要望にはまったく応えられていない。福島労災病院のようなひどいケースもある。福島県の医師不足が深刻で、それが医療崩壊の主因であることは、いまさらいうまでもない。
菊地氏は現状認識が甘いし、自らが公言した目標を達成できなければ、責任を負うべきだ。ところが、その気はまったくないようだ。リーダーとして相応しくない人材だ。
筆者は、菊地氏は理事長に適切でないと思う。幸い、菊地氏は来年3月に退職予定だ。東日本大震災後、特例として任期を延長されたが、今回はそうはならないはずだ。
ところが最近になって、菊地氏の任期延長を求める声が高まっている。教授会では「福島の危機を救えるのは菊地先生しかいない」(前出の福島医大関係者)と言う人までいる。8年にわたる理事長在任中に「独裁者」と化し、誰も反抗できなくなっているからだろう。
福島医大を仕切るのは理事会と教授会だ。数こそ力である。菊地理事長は子飼いの教授を増やしてきた。筆者には、被災地支援など二の次に見える。果たして、こんなことでいいのだろうか。このままでは福島の医療は崩壊し、医療難民であふれかえることになる。
(文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授)
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