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区分所有制度の致命的な欠陥
私は『すべてのマンションは廃墟になる』(イースト新書)や『限界のタワーマンション』(集英社新書)などで、日本の区分所有制度には致命的な欠陥がいくつもあることを指摘してきた。不動産業に携わる人間は、仮にマンションを購入しても永住しようとは考えない。時期を見計らって売却するケースが多い。彼らは区分所有制度の欠陥を理解しているからだ。こういった感覚が、一般消費者にも徐々に広がりつつある。
戸建てならば、日常生活は多少不便で断熱性や遮音性には劣るが、ハード面で何かがあっても所有者の意思で対応できることがほとんどである。所有者に経済力さえあれば廃墟になることはない。
しかし、集合住宅では個人の意思は数十分の一、あるいは数百、数千分の一でしかない。管理組合において民主主義が機能しなくなれば、そのマンションは廃墟になる可能性が高まる。
日本人は今まで上手に民主主義を使いこなしてきたのだろうか。それを考えれば、郊外の生産緑地はマンションよりも戸建て住宅群に変わるほうが、未来の風景は平和的であるように思える。
(文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト)
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