–「お得の罠」=「消費を誘う仕組み」ということですね。ほかには、どんなものがあるのでしょうか?
松崎 「ドリンク1杯無料」「3つで1000円」「(テレビショッピングなどの)今から30分間割引中」……すべてが消費喚起のテクニックです。メールマガジンやダイレクトメールでのキャンペーンのお知らせなども同様です。それらを遠ざけるだけでも、無駄な消費を減らすことができると思います。
–個々の状況は人によって違いますが、ビジネスパーソンができる節約法や無駄遣いをなくすための生活習慣などはあるのでしょうか?
松崎 例えば、お小遣い制の人は1カ月のお小遣いを日割りにすると、1日にいくら使えるのかがわかります。その数字を認識するところから始めて、強制的な手段としては、財布の中にその金額しか入れないという方法があります。「3万円/月=1000円/日」となりますが、1日1000円しか持たないのが不安だったら、「2日で2000円使える」という計算でもいいでしょう。
お金は、決して湧いてくることはありません。そのために、自らの消費行動を見直すことが大事です。買い物をしたら必ずレシートをもらい、「どんな店で、どんなものを買っているか」を振り返るだけでも違います。女性の場合はスイーツなどの購入、男性の場合は飲み歩いているケースが多いのですが、そういった「自分甘やかし支出」を減らすことから始めましょう。
貯蓄額=対外的な自分の評価額
–その結果、貯蓄ができるようになると、おのずとライフプランも立てやすくなります。
松崎 貯蓄額は、世間から見た自分の評価額です。例えば、50代で貯蓄額が100万円の人と1000万円の人では、どちらのほうが社会的信用度が高いでしょうか。もちろん、判断基準は貯蓄額だけではありませんが、要素のひとつになることは否定できません。また、ある程度の資産があると、精神的な安定につながり、自分に自信が持てるようになります。
逆に、お金がないと、住宅購入や子供の進学など、ライフプランにおける選択肢を狭めることにもなりかねません。そういう意味で、お金は自分の生活や夢を後押ししてくれるツールであり、お守りのような存在です。
また、「お金を貯める」という行為は、自分の出費に優劣をつけたり、自分に必要なものを取捨選択する訓練になるため、「生活をコントロールする力」が身につきます。自己節制のスキルを身につけることで、近年話題になっている「老後破産」の予防にもなるでしょう。
『お金の常識が変わる 貯まる技術』 得するつもりが損してる。それが“貯まらない人”。「こんなことでお金って貯まるんだ!」続かない、めんどくさい、なまけちゃう…そんな人のための、お金の貯め方・守り方。「お金の知恵」を20年以上取材した元・雑誌副編集長が教える!!