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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

子どもの教育費が不足!どうする?「子どもに負担させる」も大切、自身の老後資金不足の恐れも

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
子どもの教育費が不足!どうする?「子どもに負担させる」も大切、自身の老後資金不足の恐れもの画像1「Thinkstock」より

 家計のなかで、「聖域」とも称せられる子どもの教育費。家計支出に占める子育てにかかる費用の割合のことを「エンジェル係数」ともいうが、これは証券大手の野村證券が1989年から豊かさの指標として設定した指標なのだとか。

 たしかに家計に余裕があるご家庭であれば、子育てや教育にお金をかけることもできるだろう。しかし、平均所得はここ20年で20%減少している(2014年「国民生活基礎調査の概況」より)。

 その一方で、家計に余裕がないにもかかわらず、「子どもにはお金をかけてやりたい」という人が、少なくない。私も人の親として、そのような親心はわからないではないが、経済環境も含め、私たちを取り巻く環境は厳しい。

 今回は、イマドキの子どもの教育費の考え方や教育にばかりお金をかけていられない現状について考えてみよう。

進学コースがオール公立なら、お金はかからない?

 私がファイナンシャルプランナー(FP)になった約20年前は、「教育にお金をかけられないなら、絶対公立に行くべし」というようなアドバイスが多かったような気がする。

 しかし、最近はその“常識”が通用しなくなっているかもしれない。その理由のひとつとして、学費以外のトータルな費用を試算すると、私立に進学したほうが安くなるかもしれないからだ。

 たとえば、入学金や授業料が最も割安な、高校まで公立で、大学も国立に進学するコースの場合、国立大学は、各都道府県に1つ、2つある程度がほとんど。さらに、希望学部や学力に見合った大学が自宅通学圏内にあるというのは、首都圏を除けば数える程度だろう。

 となると、是が非でも国立大学に進学となれば、学費以外に生活費や家賃などの仕送りが必要となる。

 日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」(15年度)によると、自宅外通学者への年間仕送り額は、平均124.9万円で前年度よりも減少しているものの、大学4年間の仕送り額は約500万円にも上る。

 さらに自宅外通学を始めるための費用として45万円も別途かかるとなると、4年間で総額約550万円の支出だ。自宅通学の場合も、交通費などがかかるだろうが、それでも自宅外通学とは比べものにならない。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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