年金、年間14万円減額レベルのカット法案成立…国の「支払額の2.3倍もらえる」はインチキだった!
さらに、年金支給額の3分の1以上(現在は約2分の1)は税金が使われています。つまり、年金の加入者は、年金をもらうために保険料のほかに税金も支払っていることになります。ところが、支給額の3分の1以上を占める税金についても無視。その事実は、ないことになっています。
加えて、厚労省が試算のモデルケースとしている家庭は、20歳で結婚して、夫は40年間会社員として働き続け、妻はずっと専業主婦というパターン。今どき、このような家庭は少数派ではないでしょうか。
なぜ、このような家庭をモデルケースにしているのかといえば、妻が40年間専業主婦なら年金保険料を1銭も支払わなくても国民年金が満額支給され、このケースが家庭全体での年金の手取りがもっとも多くなるからです。
さらに、この試算では運用利回りが4.1%を前提としており、給料も右肩上がりの設定です。こうした細かなインチキを言い出したらきりがないので、このへんにしておきますが、実際の年金は「若い人ほどもらえない」ということを覚悟したほうがいいでしょう。
国が潰れない限り、年金は絶対に破綻しない
よく聞かれるのは、「年金は破綻するのか」ということ。はっきり言いましょう。「国が破綻しない限り、年金は破綻しません」。そして、国はそう簡単には破綻しません。
国が破綻しないのに年金だけが破綻して給付がなくなったら、すでに年金をもらう権利(受給権)を持っている人たちは国を相手取って訴訟を起こすでしょう。
すでに年金は10年以上加入していれば受給権を得ることができるようになっているため、こうした人たちがすべて訴訟を起こせば、その賠償金で国は破綻します。そのため、国は絶対に年金を破綻させません。けれど、破綻はしませんが、徐々にもらえなくなっていくことだけは確かです。
今まで、国は「年金改革」と称して「保険料を上げる」「給付額を減らす」「給付年齢を上げる」ということを繰り返してきました。そこに、今年からは「パートにも年金を支えさせる」(本連載前回記事を参照)を新たに加えました。
どれも私たちにとっては負担につながり、徐々にもらえなくなることは確かですが、なくなりはしないということです。では、将来的にもらえる年金が減少する中で、私たちはどうすればいいのでしょうか? これについては、次回に詳しく書きましょう。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)
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