ビジネスジャーナル > マネーニュース > 急増する「おひとりさま」のがん患者  > 2ページ目
NEW
黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

急増する「おひとりさま」の「がん患者」、日頃から絶対しておくべき「備え」とは?

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

 一般的に、おひとりさまのメリットとしては、時間やお金が自由に使えるという点が挙げられる。一方、デメリットとして挙げられるのは、病気など万が一のことがあった場合に頼る人がいないという点だ。

 男女問わずひとり暮らしを経験した人であれば誰しも、病気で寝込んだときに心細い思いをしたことがあるだろう。

 それが「がん」という生死にかかわる病気ともなれば、なおさら。とりわけ、高齢者の真性おひとりさまの問題は深刻化しつつある。

がん患者が抱える3つの問題とは?

 それでは、おひとりさまががんに罹患した場合、どのような問題があるか、がん患者が抱える3つの問題ごとに考えてみよう。

 なお、最初に申しあげておくと、これらの問題は、独立した別個のものではなく、相互関係にあるということを覚えておいていただきたい。たとえば、おカネや仕事のことが心配だと、治療にも集中できないし、精神的にも大きなストレスを抱えるということだ。

(1)がん患者が抱える問題その1~カラダ(身体)的な問題

 検査法や治療法の選択、副作用、後遺症など、がんという病気をいかに治すかという問題。病院選びに始まり、セカンドオピニオンを受けたほうが良いのか、どのような検査法・治療法を選べば良いかなど、多岐に渡る。

 これは、多くのがん患者がまず優先的に考えるべき問題であり、今後の予後やQOL(生活の質)にも大きくかかわってくるので、慎重かつ迅速に対応したい。

(2)がん患者が抱える問題その2~ココロ(精神)的な問題

 がん患者やそのご家族が抱える、不安感、喪失感、恐怖感、いきがいなどに関する問題である。乳がんに罹患した筆者が、がんと他の病気が大きく異なると感じるのは、再発・転移の可能性があるという点だ。

 一概にはいえないだろうが、たとえば他の病気は手術で悪いところを取ってしまえば、あとは経過観察で数回通院するくらい。それに対して、がんは手術があくまでも治療の “入り口”。治療の副作用などで心身への負担もかかり、治療費用も必要だ。しかも、その期間は5年から10年と中長期にわたるのだ。

 この間、再発・転移を意識しながら、息を潜めて過ごすわけである。患者本人はもちろん、家族や周囲のストレスも相当なものになる。そのため、たとえば「100人のがん患者を診察すると、50人に精神科の診断がつく」とも言われるくらい、がん告知後にうつ病や適応障害などなんらかの精神疾患を発症する方も少なくない。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

急増する「おひとりさま」の「がん患者」、日頃から絶対しておくべき「備え」とは?のページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!