老後の貯金、大きな差を生む「たった数%」の投資術……80歳でゼロの人、90歳で1千万の人
投資していますか?
「貯金から投資へ」という言葉を耳にすることがあるが、実はこれは1980年代に政府が言い出したものだ。政府としては、国民が投資をしないと困ったことになるからだ。
どう困るのかといえば、簡単にいうと国民の老後資金が足りなくなるのだ。すでに退職している団塊の世代くらいまでは、定年まで会社に勤めれば、退職金をもらい、十分な年金をもらってお金の心配のない老後を過ごすことができた。
ところが、年金保険料を払う側の若い人たちの割合が今後も減り続けるので、これまでのように国の制度で十分な年金を払うことができなくなっている。だから、政府はこう言い続けている。
「これからは『自助努力』です。自分の老後資金は自分で貯めてください。ただ、貯めてもなかなか増えません。投資で大きく増やして、自分の老後にそなえてください」
「貯金から投資へ、ですよ」
投資するかしないかは、あなたの将来のお金にとても大きな影響を与える。「お金は苦手で」「投資は怖い」「よくわからない」なんて言っていられない。投資をしながら、国の年金制度も自分たちや次世代が安心できるかたちに変えていかなくちゃいけない。
わずか2、3%の差が、数百万円の差になるという投資の実力
前書きが長くなってしまったが、シンプルに投資の実力を見てみよう。
老後資金として40歳から毎月4万円、年48万円を25年間積み立てていった場合の例。
もっと大きな効果を出すには、30歳や25歳という若いうちから積み立てればいいのだが、私は勧めていない。20代、30代は老後のことより、目の前のことから今後10年くらいまでのことを考えて生きるべきだと思うからだ。
金利差が小さいから、最初はほとんど差が出ない。50歳時点で0%と3%の差は90万円あまり。ところが65歳時点での残高は、金利0%で約1000万円、2%で1238万円、3%だと1377万円と差が開いてくる。同じ金額をコツコツ貯めていくのだが、期間が25年もあると、わずか数パーセントの差が約377万円になる。
実はおもしろいのはこの先。会社を退職して年金生活に入り、66歳から貯金を年80万円ずつ引き出すとする。金利0%だと貯金は80歳でゼロになる。いまや100歳まで生きる人も珍しくないからこれは不安だ。2%だと90歳くらいまで持つ。それが3%だとまだ1000万円残っている。この差は大きい。投資は退職するまでじゃなくて、退職してからの明暗を分けるのだ。お金とは一生の付き合いだから。
これを見ると、投資するなら3%じゃなくて5%、10%を目指したいと思うかもしれない。