まずは、どのあたりに住みたいのかを考えることにする。私は打ち合わせ等で新宿を拠点にすることが多いため、「新宿に出やすい場所」という条件はこれまでと変わらない。また、終電を逃しても徒歩で帰れる場所を想定し、目安を徒歩1時間圏内とする。さらに、家賃相場が下がっていることを踏まえ、やや広めの「1K」でも、家賃を現行よりも低めを条件とした。広さを優先するため、築年数は古くてもよい。
想定する場所は、最寄り駅で言えば、JRで大久保、新大久保、高田馬場、目白、東中野。東京メトロ丸ノ内線で中野坂上、新中野、中野新橋、京王線では初台、幡ヶ谷、笹塚。西武線では下落合、中井……といったエリア。まずはインターネットで不動産屋のサイトを探す。
Yahoo!不動産、楽天不動産、SUUMO、at home、HOME’Sなどがある。いずれの場合も、不動産仲介業者に連絡がつながる。
楽天不動産で見てみると、「借りる」や「買う」等の項目がある。「賃貸」を選択し、エリア別で「関東」をクリック。さらに1都6県の地図が出てくるので、その都県の「沿線」や「エリア」を選択する。沿線では鉄道路線、エリアでは区市町村が選べる。先の想定する沿線で探してみることにする。
すると、さまざまな物件が出てくるが、その情報の下に物件を扱っている不動産屋の社名が出ている。私はWEB問い合わせを使って、メールフォームで問い合わせる。すると、業者から物件の空きがあるとのメールが届き、場合によっては電話がくることもあった。さっそく業者に行ってみることにした。
新宿区内の駅近物件で、家賃6万円、管理費5000円の、広めの1Kマンション。不動産屋を訪ねると、「まだ空きがあるのですが、いま、申し込みが入っています。申し込みが入ると審査となるために、物件の紹介が止まるのです。だから、現在、内見できません」と説明された。しかし、なぜ駅近なのに安いのかを聞くと、「おばあさんが孤独死をしていたそうなんです。でも、リフォーム済みだということです」と話した。いわゆる“訳あり”物件だ。
●“訳あり”物件告知義務の裏側
“訳あり”物件の場合、告知をしなければならない。例えば、孤独死や自殺、殺人事件などの「事故」があった物件は、借り主に告知する義務が生じる。その場合、明確な基準がないが、問題が起きてから10年以内、または3代以内の代替わりは告知することになっているということらしい。ある不動産屋に聞いた話だが、「3代以内」を悪用し、事故があった後は不動産屋が借り、さらに自社の社員が借りて、その次の借り主には告知しない、という方法をとっているケースもあるとか。
何が“訳あり”にあたるのかの明確な基準があるわけではない。また、中野区内の別の駅近物件は、6万5000円の広めの1Kマンション。担当者は「空いているのですが、実は、ある意味、“訳あり”です。隣に暴力団関係者が住んでいて、前に住んでいたサラリーマンが半年で引っ越しをしています。管理会社は黙っていてほしいと言うのですが、言わないことでのリスクが高すぎます。だから、おすすめはしません」と説明した。
ただし、これらの物件を私は見ていない。そのため、「おとり物件」の可能性がある。「おとり物件」とは、不動産屋に来てもらおうとするために、好条件の物件をねつ造し、インターネットに出したり、店頭に出したりする。「架空物件」とも言われている。どこの不動産屋に聞いても「うちはしていませんが……」として、一般論としてはあると答える。
●「おとり物件」「架空物件」にご用心
次に、ほとんどの紹介業者が口にするのが「REINS(レインズ)」という業者間のサイトのことだ。このサイトは、一般の利用者が見られず、業者間だけで見られる最新情報だ。一般の人が見られるサイトで見つけられる物件でも、成約されれば、このサイトからは削除される。仲介業者ではこのサイトの情報をもとに探す担当者が多い。