2018年3月下旬、国土交通省が同年の地価公示を行いました。全国2万6000地点の地価を国土交通省の土地鑑定委員会が調査、1月1日現在の正常価格を公示するもので、市場へも大きな影響を与えます。
その結果をみると、地域によって地価の優勝劣敗がますます鮮明になっています。これから住宅選びを行うのであれば、その資産価値を考えた場合には、地域選びがたいへん重要な問題になってきます。そこに永住するのだから、資産価値は関係ないというのなら問題はないのでしょうが、いずれ売却の可能性もあるという人は、ぜひ注意しておいていただきたいところです。
住宅地の全国平均は10年ぶりに上昇
まずは図表1をご覧ください。18年の地価公示、住宅地の全国平均は前年比0.3%の上昇で、リーマンショック以前の08年以来、10年ぶりの上昇になりました。ただ、上昇率は0.3%ですから、まだまだ横ばいといっていいレベルかもしれません。底堅い動きになっているのかどうかは、19年以降の数値を見る必要があるのではないでしょうか。
一方、商業地は1.9%の上昇と16年以来の3年連続での上昇を記録しました。それも、0.9%→1.4%→1.9%と着実に上昇幅が拡大しており、かなり底堅い動きになってきたといえます。
住宅地の上昇の波は地方圏にも広がる
さて、住宅地の動きを少し細かくみてみましょう。
まず、都市圏別では、三大都市圏平均が0.7%の上昇で、東京圏は1.0%、大阪圏は0.1%、名古屋圏が0.8%の上昇でした。それに対して、地方圏は-0.1%とまだ厳しい環境ですが、それでも、マイナス幅は16年の-0.7%が17年には-0.4%になり、今回は-0.1%ですから、着実に改善に向かっていることは間違いありません。
地方四大都市では前年比3.3%の上昇
なかでも、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市平均は3.3%と東京圏よりも高い上昇率を記録しました。16年は2.3%、17年が2.8%でしたから、地方四市の住宅地は強含みで推移しています。
しかし、それ以外の地方圏に限ると、18年でも-0.5%でした。16年の-1.0%、17年の-0.8%からジワジワと改善していますが、それでもまだまだ水面下の厳しい環境にあるといわざるを得ません。