上がる土地と上がらない土地の格差拡大
10年前の08年を100とした指数でみると、図表2にある通りです。全国平均では86.0ですから、まだリーマンショック以前のレベルにはほど遠い状況です。100を超えているのは、復興需要に沸いた宮城県の103.3と沖縄県の103.7のみです。次いで、愛知県が98.0と100に近いところまで戻っていますが、東京都は92.7でまだ低い水準にとどまっています。
最も指数が低いのは秋田県の65.1で、次いで高知県66.0、徳島県66.7などが続いています。よくいわれているように、秋田県は全国のなかでも最も人口減少が激しい県であり、それが住宅地の動向にもハッキリと反映されているようです。
人口減少と地価の下落は符合している
この地価の下落は、秋田県だけの問題ではなく、人口の減少とみごとに符合しています。図表3は、国立社会保障・人口問題研究所が15年を100としたときの、総人口が30年、45年にどうなるのかを推計したものです。
人口が増加する、あるいは減り方が少ない上位には、東京都、沖縄県、愛知県や首都圏の各県が上がっています。地価公示で上昇率の上位に上がっている宮城県、福島県は復興需要の影響であり、長い目でみればいつまでも上昇が続くものではないでしょう。
秋田県では45年には15年の6割弱に
反対には、総人口が減少するトップは秋田県で、45年には15年の58.8%にまで減少します。現在の6割以下の人口に減ってしまうわけです。これでは、土地へのニーズが出てきようもありません。こうしたトレンドを見込んで、地価が下がるのは当然でしょう。そのほか、地価下落率上位の四国の各県や東北各県が人口減少の上位にランクされています。人口減は地価下落に直結しているのです。
これは、都道府県単位だけの話ではありません。同じ都道府県内でも人口の増減は起こっており、それが地価に反映されることになります。
都心からの距離で変動率には大きな差
各都道府県内の自治体別にみてみましょう。
地価公示において、東京都では荒川区の6.1%をはじめ、高い上昇率を記録した市区町村が多いのですが、あきる野市と青梅市だけはマイナスでした。これをやはり国立社会保障・人口問題研究所の推計と対比してみましょう。