今、話題の本がある。4月に発売された『MINE 総時価総額100兆円、利用者数1億人。ついに動き出す金融革命。「マイニング経済圏」は世界を変えるのか』(冬至書房/ジョージ・S著、中上分維訳)だ。
ビットコインをはじめとする仮想通貨は急速に普及しつつあるものの、いまだ投機の対象となっている感が否めない。一方で、NEMが大量に流出したコインチェックの騒動は社会に大きな衝撃を与えた。そんななか、本書が示す「まったく新しい仮想通貨のビジョン」とはいかなるものか。翻訳を担当した中上氏に聞いた。
使えば使うほど資産価値が上がる仮想通貨
――著者のジョージ・Sさんは、「仮想通貨の発案者は表に出ないほうがいい」という考えから、自身のプロフィールや現況を明確に開示していません。ジョージさんは、どこで何をやっている人なのですか。
中上分維氏(以下、中上) ジョージさんはITエンジニアで、イーサリアムを使う開発コミュニティで仕事をしています。その仕事を通して仮想通貨の「マイン」および「マイニング経済圏」をつくり出す「マイン構想」を発案したのです。現在は、所在地のフィリピンをベースに数カ国を移動する生活を送っています。
――中上さんがジョージさんと知り合ったきっかけはなんですか。
中上 私は、仮想通貨のディストリビューターやプロモーターを行っています。ジョージさんが自分の構想を世の中に知らしめるチャネルを探している過程で私の存在を知り、メールをいただきました。その後、メールのやりとりをするうちにマイン構想の可能性に魅了され、私が訳者となって考えをまとめることになりました。それが本書です。
――ほかの仮想通貨と比較して、マインの特徴はなんでしょうか。
中上 マインは値動きによる差益の獲得を目的とした投機の対象ではありません。今の仮想通貨は、ほとんどが投機の対象として購入されているのではないでしょうか。
――確かに、投機以外の購入目的はあまり聞きません。
中上 マインは使用した金額に応じて一定の割合が再投資される仕組みになっています。使えば使うほど資産価値が上がっていくわけです。いわば「ベルマーク」のようなイメージでしょうか。
――値動きを発生させない通貨なのですか。
中上 たとえば、値動きによって「昨日は1マインで購入できた商品が、今日は2マインでないと買えない」となることは好ましくありません。マインは、インフレにもデフレにも耐性のある仮想通貨を目指しているといえるでしょう。
法定通貨を介さない仮想通貨だけの経済圏を目指すマイン
――マイニング経済圏とは、どんなイメージでしょうか。
中上 マインを決済手段として使用できる仮想空間です。決済自体はデビットカードで行うのですが、VISAと連動しているのでVISAカードを使用できる状況であればマインも使えるようになるでしょう。決済手数料の一部がマイニングへの再投資に充てられるため、マインを使えば使うほどマインが手に入り、マインの価値をより高めることができれば利用者は一段と増え、ひとつの大きなコミュニティが形成されます。マインの価値が半永久的に増え続けることで、マインを使う頻度も比例して増えていく。このループが、仮想通貨を軸にした経済圏をつくる根底の仕組みです。
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