首都圏を中心とする新築マンション価格の上昇が止まりません。不動産経済研究所の調査によると2017年度に首都圏で売り出された新築マンションの平均価格は5921万円で、前年比6.9%の上昇、バブルのピーク時である1990年度の6214万円に迫る勢いです。
バブル期であれば、賃金も上がり、資産価値も上がるので、無理して買ってもすぐにラクになれましたし、売却すれば利益も出ました(もっとも、バブルがはじけた後には大変なことになったのですが)。でも、今はそんなことを期待できる環境ではありません。バブル超えどころか、早晩壁にぶち当たり、価格も下落するのではないかと懸念されます。
18年に入って首都圏新築マンション価格は乱高下
実際、2018年に入ってからの月ごとの首都圏新築マンションの平均価格をみると、5000万円台、6000万円台を行き来する乱高下を続けています。土地取得費の上昇、建築費の高止まりもあって、マンション供給サイドでは値上げしたくてたまらないのですが、値上げするとお客が付いてくるのかどうか心配です。そのため、手探りの価格設定になっています。
その結果、契約率は好不調の採算ラインといわれる70%を切る月が多くなっています。不動産経済研究所によると18年4月は63.0%、5月は62.2%という厳しい数字になっています。今のところ、投げ売りなどは出ていませんが、これ以上販売状況が悪化すれば、それも十分にあり得ることです。
近畿圏では新築の専有面積圧縮が始まっている
近畿圏では、比較的市場が安定しているようにみえますが、それでも実は昨年あたりから専有面積の圧縮傾向が強まっています。18年4月の1戸当たりの専有面積の平均は56.66平方メートル。1年前の17年4月は61.65平方メートルでしたから、1年間で4.99平方メートルも狭くなっています。平均価格をみると18年4月は3825万円で、17年4月は3833万円でした。平均価格は8万円下がっているのですが、1平方メートル当たりの単価は62.2万円から67.5万円と8.5%の上昇です。
特に、近畿圏はこのところのインバウンドブームで地価が上がり、土地取得費の再上昇が懸念される状態になっています。といって、数字に敏感な関西人の手前、そう簡単に値上げはできないため、単価の引き上げで実質的な値上げを行っているといっていいでしょう。どこまでそんな姑息な手段が通じるのか、そろそろ限界が近いのかもしれません。