保険料はオリックス生命の定期保険の場合、月額1万5100円。一方、収入保障保険はわずか5015円だ。加入当初は同じ保障額を設定したにもかかわらず、保険料は3分の1となる。この保険料の違いが“三角の保険”に加入しようといわれる理由なのだ。
三角形だから、収入保障保険は保険金が徐々に少なくなっていく。例えば45歳時に死亡した場合、被保険者が60歳になるはずだった年までの15年間、毎月17万円が遺族に支払われる。保険金合計は3060万円だ。55歳時に死亡すれば、支給期間は5年間なので1020万円。59歳では、わずか204万円にすぎない。このように考えると、死亡する確率が高くなる年齢になればなるほど、遺族が受け取れる保険金が減っていくということがわかる。収入保障保険の保険料が安いのは、こういったカラクリになっているからだ。
なお、保険期間の終了間近(2年以内)に死亡した場合、一定期間の保険金支払いを保障する商品も多い。例えばオリックス生命の場合、1年と5年のどちらかを選べる。ただし、このような保証期間がまったくない保険会社も存在するので注意が必要だ。
一方、定期保険なら保険料は3倍するものの、60歳までなら何歳で死亡しても5000万円を受け取れる。定期保険と収入保障保険は一概にどちらがよいのかを、はっきりということはできない。それぞれのご家庭、そして考え方によって最適な答えは異なる。「保険料は安ければ安いほどよい」といわれる時代ではあるが、本当に死亡するという事態に陥った場合保険料の安さだけで保険を選ぶのは本末転倒。それぞれの保険の特性を理解して、賢く保険を選んでいってほしい。
また、収入保障保険から受け取る保険金は遺族の所得となる。所得税や住民税の課税対象となり、毎年、確定申告が必要となるという厄介な側面も存在する。
(文=横川由理/フィナンシャルプランナー)