6月26日に会期末を迎える国会。一時は暴風だった解散風はそよ風程度にやみ、国会の会期延長と衆参同日選はなくなったという見方が広がってきた。
そうなると、参院選は7月4日公示・21日投開票という日程が濃厚だが、有名人が公示直前に出馬表明したりと毎回、候補者が乱立する日本一の大票田「東京選挙区」で今、主要政党が固唾を飲んでその動向を注視しているのが、政治団体「れいわ新選組」を立ち上げた山本太郎代表である。
現在、東京選挙区の現職は、自民党の丸川珠代氏(48=元五輪相)、武見敬三氏(67)、公明党代表の山口那津男氏(66)、共産党の吉良佳子氏(36)、山本太郎氏(44)の5人。
東京選挙区は3年前の参院選から改選数が1増え6議席となった。
ここに新人として立候補を予定しているのは、立憲民主党から元都議の塩村文夏氏(40)と元朝日新聞記者の山岸一生氏(37)、国民民主党からJAXA職員の水野素子氏(49)、日本維新の会から元都議の音喜多駿氏(35)、社民党から労組書記長の朝倉玲子氏(60)などである。
各党は、山本氏がそのまま東京選挙区で出馬するのか、それとも全国比例に移るのかを注視している。衆参同日選なら衆議院への鞍替えの可能性まで想定しているとも。どこに出馬するのか、まだ最終確定していないからだ。
山本氏は4月1日に政治団体を立ち上げた際、寄付を募り、「寄付金が3億円集まったら、参院の比例と選挙区で合計10人の候補者を立てる」と宣言している。寄付金はわずか40日で1億円を突破、6月5日時点では1億6826万円に達している。こうなると公示までに3億円は夢ではなく、全国に広がる支持者のためにも、圧倒的な知名度を生かして比例で出馬する可能性が高まる。
「山本氏には、ぜひとも比例に行ってほしい」――。これが、自民、立憲、国民の切なる願いだ。
「自民党の情勢調査では、自民の丸川氏、公明の山口代表、共産の吉良氏、れいわの山本氏が当選確実で、残り2議席を自民の武見氏、立憲の塩村氏と山岸氏、国民の水野氏が争う構図。ここに保守票を奪う可能性のある維新の音喜多氏まで参入してきた。武見氏はがんばっても最下位当選がいいところなのです。山本氏が東京選挙区からいなくなれば、武見氏が戦いやすくなります」(自民党関係者)
一方、野党の調査では、丸川氏と塩村氏がそれぞれ100万票獲得の勢いで飛び抜けているという。
「丸川氏と塩村氏が大きく得票して抜ければ、残り4議席は団子状態となり当選ラインが下がる。3年前の参院選では、現在立憲の蓮舫氏が112万票を取ったため当選ラインが下がり、最下位は50万票でした。今回は当選ラインが50万票以下になる可能性もある。そうなれば、支持率1%の国民の水野氏にも可能性が出てくる。山本氏がいなければ、なおさらです」(国民民主党関係者)
さて、山本が“テッパン”の東京選挙区を捨てることはあるのだろうか。
(文=編集部)