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2023.05.16 14:50
2015.08.29 00:12
永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」
富士フイルム、卓越した経営 古びた「当たり前」を愚直に実行、主力事業消滅の危機を克服
しかし、真実は言い尽くされた言葉の中にあることも多いのだ。この言い尽くされたことを実行しようとしない企業や人も多い。そして成功する人や企業は、言い尽くされたことを愚直に実行しているのだ。
実はコダックは、1988年に巨額を投じて製薬会社を買収するなど、むしろ富士フイルムよりも先手を打って様々な多角化事業を積極的に進めてきた。しかし当時は本業の写真フィルム事業が好調だったこともあり、富士フイルムと比較して多角化意欲が薄かった面は否定できない。事実、1988年に買収した製薬会社も1994年に売却している。タイミングの違いはあるものの、両社の危機感の差からわれわれが学べるところは大きい。
コダックが破綻し、富士フイルムが生き延びたのも、自社の強みを見極め、その強みを必要とする顧客と課題を見極め、リアルな顧客で検証し続けるという当たり前のことを、危機感を持って愚直に実行したからだ。
ビジネスに「魔法の絨毯」は存在しない。常に危機感を持ち続け、当たり前のことを当たり前に行うことこそ、王道なのである。
(文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表)
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