ダラダラ残業する会社にハピネスはない!
阿部 そもそも年収縛りの法律は、万人のための法律とはいえないと思います。「残業代をゼロ」にするかどうかの議論より、「残業をゼロ」にするほうが良いではないですか。なぜそのような議論にならないのかと思います。
仕事が定時に終わることを実現している会社は効率が良い会社なのですから、そっちが良いに決まっています。一方、残業が多い会社が、ただちにブラック企業である、というステレオタイプの考えも間違っていると思います。
残業をしている社員には2種類の社員がいます。「ダラダラ社員」と「イキイキ社員」です。「ダラダラ社員」は仕事をしているフリをしながらダラダラと残業をしている社員です。「イキイキ社員」は仕事が楽しくて、残業をしている意識もなくイキイキと働いている社員です。
つまり、残業している社員が多いからブラック企業という見方は偏った考えであり、要はどのような思いで働いているかが重要で、社員が幸福感(ハピネス)を感じているかどうかが本当の意味での良い会社かどうかを見分ける基準だと思うのです。
ダラダラ社員がいるということは、そもそも仕事が面白くない、楽しくないということの表れですし、社長にも責任があると考えるべきです。
『実践ワーク・ライフ・ハピネス2』では、仕事が充実し社員がハピネスを感じている会社が多く登場します。岩手県にある総合オフィス商社の株式会社平金商店は、女性の活用で成功している事例として取り上げました。
平金商店のケースでは、子育てしている女性のほうが仕事の効率が良いようです。早く帰らなければならないから仕事をテキパキと片付けるわけです。どうせ残業するからとダラダラ仕事をする社員とは大きく違います。仕事の効率が良く、アフター5も充実させることは可能なのです。
一方、仕事が楽しくて気がついたら残業していたというケースもあります。拙著で登場するハピネス企業の社員の多くがそうですね。残業をしていてもハッピーなケースもあるのです。
–日本では「上司が残業しているから自分も仕方なく残業する」という風景をよく見ますね。
榎本 部下が残業せずに早く帰ると、翌日に上司が「昨日は早く帰ったな」と詰めることがありますね。そういう会社にハピネスはありません。