「岡山県」という場所に、どんなイメージをもっているだろうか。桃太郎、きび団子、マスカットなど名物や名産も多いが、岡山県外に住む人は、まだまだ岡山県がどんな県なのか知らない人も多いかもしれない。
『岡山の新常識』(岡山の新常識研究委員会/著、泰文堂/刊)は、岡山県をもっと知るために53個の新常識を紹介する「岡山」愛に溢れた一冊だ。
岡山県というと、あまりスポーツのイメージはないかもしれない。かつてはサッカー不毛の地とも呼ばれていた。しかし、今や地元のプロサッカークラブを2つ抱える県になっている。J2所属のファジアーノ岡山FCとなでしこリーグ所属の岡山湯郷Belleだ。
ファジアーノ岡山は、元日本代表の岩政大樹選手、加地亮選手を迎えるなど、積極的な補強策もあいまって、J1昇格への期待も高まっている。そして、フロントのサポーターからの信頼がとにかく高いという。サポーターだけでなく、初めてスタジアムのホームゲームに訪れる人たちも楽しめるように、ファジフーズというグルメ企画に力を入れ、グッズ企画も盛りだくさんだ。一方、湯郷Belleは、なでしこジャパンキャプテンの宮間あや選手や福元美穂選手らを擁し、2014年には初のタイトルを獲得している。
プロクラブの活躍によって、小中学生の世代でも、全国大会規模で優秀な成績を残すケースが出てきており、サッカーが盛んになってきているのだ。
スポーツの次は文芸だ。推理小説ファンなら一度は読んだことがあるであろう、横溝正史の金田一耕助シリーズ。この金田一耕助が誕生した場所が、岡山県倉敷市真備町なのだ。
金田一耕助が初めて登場するのは、1946年から連載が始まった『本陣殺人事件』。以降、『獄門島』『八つ墓村』といった横溝作品の舞台に岡山県が選ばれ続けてきた。これらの作品群は、昭和初期の岡山県の風俗や事件などを知るうえでの研究資料としての価値も高い。
横溝は、出身は兵庫県だが、戦時中に真備町に疎開していた。疎開中に見聞きした岡山の風習や風俗に惹かれ、岡山を舞台とした作品を手掛けていくことになる。横溝の疎開宅は真備町に現存しており、無料で一般公開もされている。
岡山県にはいったい何があるのか。文化や歴史、観光、方言など、岡山県の情報が盛りだくさんの本書。岡山県に行ってみたくなる一冊だ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。