◆むしろ動いてないヤツは早く認知症になる!
さらに、著者は膨大な研究論文を渉猟しながら、運動が日常生活にもたらすメリットを次々紹介していく。
・昼休みに運動をしている従業員のほうが、仕事の締め切りを守れる(p106)
・有酸素運動をすれば、不安がたちまち解消される。体の筋肉の張力が緩むので、脳に不安をフィードバックする流れが断ち切られるから(p118)
・筋力トレーニングと有酸素運動はどちらも、アルコールやタバコをやめようとしている人が陥りがちなうつの症状を軽減する(p236)
特に差がつくのが老後だ。
年を取ると、一般に体中の細胞がストレスへの適応力を失っていく。その結果陥るのがアルツハイマー病やパーキンソン病などの高齢者によく見られる病。運動は、そんなストレスに抵抗する力(ニューロンの情報伝達力)の衰えを遅らせることができるという。
ここまで読めば、単に身体を動かしているだけ(と思いたい)体育会系を一方的にバカにするのが困難なことがおわかりいただけただろう。
◆この本を読んでいると、居ても立っても居られなくなる
著者によれば、現在の医学では運動と脳の働きの関連性はもはや研究の「前提」であり、今後は、どんな運動が、どんな病を予防するのかについてより詳細な分析をする研究が盛んになるという。
つまり、今後我々に「動かない自分」という選択肢は残されていないらしい。
ちなみに、本書は300ページを超える大作で膨大な実験データの紹介とともに科学的な用語が頻出する。これら一言一句を、専門分野をかじっていない人が理解するのは正直キツい。
そのため、脳科学に精通していない一般の読者は運動と脳の働きのあいだに深い結びつきを示すエビデンスが多数存在することだけ抑えておけばOKだ。
むしろ、科学用語を理解する前に、本書を読んでいる自室やカフェを飛び出してしまったほうがよっぽどましだ。なぜなら、走ったあとのほうが、あなたはその用語を簡単に理解できるのだから。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。