最近、「休み方が分からない」という声を聞くことが多い。
「休日」はあるけれど、お昼まで寝ていて、ぼんやりと日中を過ごし、夜はちょっと飲みに行く。休んでいるはずなのだけど、なんだか疲れが取れない。 それは、正しく「休息」できていないからかもしれない。
『世界のエリートがやっている最高の休息法』(ダイヤモンド社刊)は、そんな悩みを抱えている人にとって、強く刺さる内容だろう。16万部のベストセラーとなっている一冊だ。
本書の著者である久賀谷亮氏はイェール大学で最先端の脳科学研究に携わり、臨床医として精神医療の現場に8年間従事。臨床医としては25年以上のキャリアを持っている。
そんな久賀谷氏がまず読者に求めるのは、休息に対するイメージの転換だ。どれだけ休んでも疲れている、集中力がなかなか続かない、といった「疲れ」はただ身体を休ませただけでは回復しない。
これは「脳の疲れ」だからだという。
■「脳の疲れ」をとるための「マインドフルネス」とは?
久賀谷氏は、脳は何もしていない状態でも、勝手に疲れてゆく可能性があると指摘する。
これは、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という脳内のネットワークと関係がある。このDMNは脳が意識的な活動をしていない状態のときに活性化するネットワークで、本書によれば「脳の消費エネルギーのなんと60~80%を占めている」とも言われるという。
つまり、なんとなくぼんやりしているときでも、脳は動き続けているというわけである。
では、どのようにすれば脳を休ませることはできるのだろうか? そこで出てくるのが、今年、日本でも広がりを見せた「マインドフルネス」だ。
以前からアメリカのトップ企業において、「瞑想」が社内プログラムの一つとして組み込まれているという話はあった。アップルのCEOだったスティーブ・ジョブズが、禅の思想に影響を受けて瞑想を実践していたことは有名な話だし、グーグルも瞑想を社内プログラムに取り入れている。
マインドフルネスと瞑想はセットで語られることが多いが、マインドフルネスを達成するための手段として瞑想があると考えた方がいいだろう。
しかし、その定義を調べていくと、だいたいこのような結果になるはずだ。
「評価や判断を加えずに、いまここの経験に対して能動的に注意を向けること」
(『世界のエリートがやっている最高の休息法』61Pより引用)
「いまここに集中する」――分かるような、分からないような、そんな印象だ。これでは少し分かりにくい。そこで、本書から、噛み砕いた分かりやすい説明を引用しよう。
「マインドフルネスは脳と心を休ませるための技術群」
(『世界のエリートがやっている最高の休息法』62Pより引用)
なるほど。実はこの『世界のエリートがやっている最高の休息法』には、瞑想だけではなく、呼吸法であったり、思考法であったりといった7つの休息法が取り上げられている。瞑想だけがマインドフルネスではないということだ。