人によっては「不平不満を溜めると体に良くない。思いっきり吐き出したほうがいい」と言う人もいる。確かに一理ある。
しかし、さんざん愚痴ってきた私の経験から言わせてもらえば、「不平不満はやたらと吐き出さないほうがいい」ということ。不平不満はネガティブだが、エネルギーであることには違いない。しかもその力は非常に強力である。このエネルギーを愚痴って垂れ流すのではなく、「この不満をお客様のための良い行動にぶつけよう」などポジティブな方向へその力を利用したほうがいいのだ。
この話を聞いて、「そんなのは当たり前の話だ」と思った人もいるかもしれない。しかし、これができる人はそう多くない。私自身もマスターするまでに7年もの歳月を費やしてしまった。もっと早くネガティブなエネルギーをいい方向へ利用すべきだったと、つくづく思う。
失敗に感謝する
その後、私は8年目にしてトップ営業マンになった。とはいえ、いいことばかりではない。ときには間違いなく契約になると思っていたお客様から「本当にごめんなさいね」とお断りされたりすることもあった。信じていたお客様からの断りのダメージは大きい。一瞬愚痴りたくなるが、ここはグッとこらえ、そのエネルギーを他のお客様のための行動にぶつけた。だからこそ、ほぼ落ち込まずにすみ、すぐに気持ちを切り替えることができた。
失敗をエネルギー源として次の成功につなげていたのだ。
知人の例をご紹介させてほしい。
私が尊敬しているAさんとお会いした時のこと。ちょっと興奮気味に「うまい話に乗って痛い目にあいましたよ」と話してきた。話を聞けば被害額も大きく、何より精神的なダメージも大きい。にもかかわらず、「いやぁ~無知でした。今回高い授業料になりましたが、本当に勉強になりましたよ」と言っていたのだ。
Aさんの話から“恨み節”はまったく感じられない。むしろ感謝しているような口ぶりだった。さらには「この経験を元にして一冊本でも書きますよ」と言う。本当にたくましい人だと感じた。
仕事をしていれば、いいこともあるし悪いこともある。痛い目に遭った時、恨み節でいつまでも愚痴るか、それともそれをモチベーションにして飛躍するか。
考え方次第でどうにでもなる。ネガティブなエネルギーを前向きな行動にぶつけた時、あなたの人生は必ずやいい方向へ向かうに違いない。
(文=菊原智明/営業サポート・コンサルティング代表取締役)
■参考文献
「疲れない心」の作り方