――ガトーショコラの味は、ずっと変えていないんですか?
氏家: この10年間を通して、段階的に砂糖を減らしています。今年の6月にはこれまでの三分の一にしました。
「ギルドフリー」という言葉がありますが、よりライトな甘さといいますか、食べても罪悪感を覚えない控えめな甘さが時代的にも求められていますからね。これまでは「濃く、おいしく」だったんですけど「軽く、おいしく」という方向に変えました。
――商品が1種類しかないだけに、味の変化が売り上げに直結する怖さがありますね。
氏家: それはありますよね。だから日々データを取りますし、ツイッター検索で反応を見たりもします。
ただ、これまでの成功体験にこだわりすぎて味が古くなってしまうのが一番危険だと思っています。これだけあちこちで「糖質オフ」が叫ばれているわけですから
――本書をどんな方に読んでほしいとお考えですか?
氏家: 個人経営の方ですとか起業した方、あとは大きな会社のチームのリーダーの方が読んでも役立つところがあるのではないかと思います。
ビジネスの世界で戦っていくなかで「自分ここで戦うんだ」という軸を決めることの重要さをこの本では伝えたいです。とにかく余計なことはやらないこと。勝負する場所を絞ることで勝てる確率は上がるんです。
――「余計なことはやらない」「勝負する場所を絞る」ということですが、実践するのは勇気がいることです。最後にこの決断を後押しするようなメッセージをいただきたいです。
氏家: ダメだった時のための「逃げ道」は用意しておくべきです。私も「ガトーショコラ一本」がダメだった時のために、夜の宴会だけは最後まで残していました。うまくいかなかった時に戻れる場所を用意しておくことで、チャレンジしやすくなるのではないかと思います。「一か八かの賭け」にならないようにやってみていただきたいですね。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。