世間でたびたび話題になる「ブラック企業」。
新卒でブラック企業に入社し、2年目で休職、退社した著者が綴るのが『雨宮鬱子の証券会社で働いたらひどい目にあった』(雨宮鬱子/著、宙出版/刊)というマンガです。
本書では、著者が働いていたころの様子や、うつ病になった経緯、うつ病になってからの経過などが、漫画で克明に綴られています。
ここでは本書から抜粋して、うつ病になってしまった当時、著者が陥っていた思考パターンを紹介したいと思います。
■「パワハラでもいじめでもない。私以外の人はきちんと働けていた。私が駄目なだけ」
「まじめな人ほどうつ病になりやすい」と言われています。それは、ストレスに対して受け流したりサボったりすることができず、自分を自分で追い込んでしまうからです。
仕事が上手くいかないと、「できないのは努力が足りない」「私を育てようとしてくれている」「それにこたえられない自分が悪い」など、すべて自分のせいにする思考パターンは、やがて自分を潰してしまいます。
逆に、嫌なことは嫌だとハッキリ口に出したり、怒りの感情をあらわしたり、言われたことを真に受けずに受け流したりできる人は、うつ病になりにくいと言えそうです。
■「ノルマが多い、残業が多い、責任が重い、上下関係が厳しい、体育会系……全部分かって入社したのだから」
ブラック企業でうつ病になってしまった人の中には、「入社してみたら予想に反して大変だった」という人もいれば、「大変なことは重々承知の上で入社した」という人もいるのではないでしょうか。
いずれにしても、仕事で心身を壊してしまった自分を責めるのは間違いです。
厳しい仕事で心身を壊してしまうのは、確かに自分の未熟さゆえかもしれないと前置きしたうえで、著者はこう主張しています。
たとえ自分が未熟だったとしても、全員の前で批判し、大声で罵倒し、自分のことを管理職でも何でもない人間に相談し、部内で孤立させ、プライベートなことにまで踏み込み、最終的に社員を休職に追い込む上司は、明らかに常軌を逸している。
すべて自分のせいにするのではなく、「他人が悪いのではないか」「会社が悪いのではないか」という目線も併せ持つことが大事と言えそうです。
■「うつ病なんて甘え。わたしは本当はうつ病じゃない」
著者は病院でうつ病と診断されてからも、「自分はうつ病ではなく、ストレスと疲れで体調を崩しているだけ」と考えていたといいます。そして、「自分には価値がない」「社会に出ても迷惑しかかけない」と考えてしまうことが病気だと言われても、全く理解できなかったといいます。