A そうそう、飯田さんといえば、自家発電の電力に関して、「なぜ電力会社は青天井で買い取るって言わないんだ!」みたいなことを言ってるらしいじゃないですか。でも、事故前に原発で1kWhあたり2~3円でつくっていた電力を、100円、1000円で買って10~20円くらいで売るっていうのは、今年を乗り切るという点では有効かもしれませんが、いつまでもできることじゃないですよね。
C そうですよね。非常用電源をはじめとする原発の追加安全対策にも、平時以上のコストがかかってましたし、電力会社にとっても、事故後の損害は大きい。ガスタービンとか、あり得ない値段で買っているって聞きましたよ。
B 今は完全に足下見られてますよね。それでも、事故前では考えられない値段にも応じるしかない。
C そういえば、先日、関電が今夏の電力供給の見通しについて、企業への通達を行ったそうですね。あらゆる手段で電力を融通しても、原子力発電所が稼働しなければ、今夏は最大で16・3%の電力が不足するという発表もありました。一般家庭への節電の呼びかけと同時に、各企業との”調整”が課題となっているようですが、11年に比べ、今年はさらに厳しくなってるんじゃないですかね。
B 関電は、今年は電気代を値上げしないと発表しましたが、原発を動かせなければ、必然的に赤字は膨らみますよ。火力発電や再生可能エネルギーによる発電コストは、原子力発電に比べて確実に高い。企業にも一般家庭にも節電をしてもらえないと、来年は電気代を値上げせざるを得ないでしょう。そのために橋下(徹)大阪市長も増税を検討しているんでしょうが、原発を動かすにしろ、電気料金や税金を上げるにしろ、どちらにせよ、叩かれるでしょう。
A 関電には、現時点ですでに、3000億円ほど損失があると聞きます。全従業員をタダ働きさせても、電気料金は上げざるを得なくなると思いますよ。
C この状況に対して、企業側の反応も厳しいですよね。特に関西は、本社を構える大手メーカーも多いですし。
B 当然、製造業をはじめ、”なんとかしてくださいね”という声は上がっているみたいですよ。”なんとかしてくださいね”というのは、電力供給をしっかりやってね、つまり原発を動かしてね、ということでしょう。企業には、昼間の電力調整の協力を呼びかけていますが、工場を持っている企業によっては、生産を夜間稼働に切り替えるという処置をとって対応していただくなど、その負担は大きい。
C 世間的には脱原発の流れですから、企業イメージを考えると、企業側も節電対策を謳わざるを得ない状況ですしね。