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2023.05.06 01:12
2012.07.26 18:00
スポーツライター小宮良之の「フットボールビジネス・インサイドリポート」第3回
今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない!
「走るサッカー」という元日本代表監督イビチャ・オシムの標榜は、世の中に伝播したが、Jリーグの下位のチームでは走ることのみに囚われ、言葉が一人歩きしている。
フットボール大国、スペインでは選手が闇雲に走り回ることを、「Gallo sin cabeza」(頭のない雄鳥)と表現する。頭部を切断したまま1年以上雄鳥が生き延び、走り回った、という科学実験がかつてあったらしい。そのおぞましい光景を、人々は選手がピッチを意志も意図もなく走ることの比喩として使っている。
サッカーチームだけでなく会社などあらゆる集団において、自分の役目でもないのに動き回る人がいるとしばしば迷惑を被るものではないだろうか。逆に派手さはなくても、担当を守りながら周りを助けられる人がいると相互関係が良くなり集団は機能する。
ロンドン五輪サッカー男子代表には、人材がいないわけではない。
FWの杉本健勇は前線であまり動かず、消えている時間もあるが、動くべきときに動いているから相手にダメージを与えられる。わずかに体の方向を変えるだけでパスコースを生み出し、相手のポジションを乱し、隙を作っている。なにより決断が迅速で、迷いがないため、外側からみたよりもプレースピードは数倍速い。“走るよりも速く時間を操っている”のだ。
頭のある雄鳥として戦えるか否か。
それは指揮官の采配に大きく掛かってくる。7月26日、第一戦は圧倒的戦力差のあるスペインが相手だ。日本は総力を結集するしかないが、“玉砕”を叫んで突っ込むだけでは勝機はない。
(文=小宮良之)
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