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アメリカ経済が直面する回避策なき「財政の崖」

オバマが再選すると円高が進む!? そのワケとは

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 だが、事はそう簡単には運ばない。今回の選挙では、大統領選とともに上・下院の議員選挙も行われるのだが、現状の形勢は共和党が優勢となっている。もし、共和党が上・下院ともに過半数を押さえることになれば、仮に民主党のオバマ大統領が再選を果たしても、議会との”究極のねじれ”が発生し、議案は簡単には議会で成立することがなくなる。その上、13年からの財政の崖を回避するためには、年内に回避策を決める必要があるが、大統領選から年末までは、わずか8週間の期間しか残されていない。

 さらに、議会選挙で当選した新しい議員の任期は13年1月3日からのため、回避策という重要な政策を検討するのは、落選した議員を含むレームダック議会(死に体)ということになる。当然、責任感もクソもあったものじゃない。まともな議論が行われる可能性は非常に小さい。その上、悪いことに11年同様に再び債務上限問題が発生する可能性までがあるのだ。

 こうなると、相場が大きくドル安に傾く可能性は非常に大きい。市場は先取りをするため、今年の秋口から年末にかけて、この「財政の崖」問題がクローズアップされ、為替相場は大きくドル安・円高に振れる可能性を秘めている。

 11年の財務上限問題の時には、7月8日に1ドル=81.48円だった水準が、8月19日には1ドル=75.93円まで5円以上の円高になった。日経平均株価は同じく1万200円台から8600円台に下落した。今回は、「財政の崖」に加えて、「債務上限問題」も発生するかもしれない。そうなれば、円はドル安の影響を受け、史上最高値を更新してもおかしくない。となれば、日経平均株価が8000円を割り込む可能性が出てくる……。
(文=鷲尾香一)

BusinessJournal編集部

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