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沸騰する訪日旅行~「おもてなし」で稼ぐドンキ、マツキヨ、焼き肉店の戦略

沸騰する訪日旅行~「おもてなし」で稼ぐドンキ、マツキヨ、焼き肉店の戦略の画像1「Thinkstock」より
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/10月19日号)は「『おもてなし』で稼ぐ」という特集を組んでいる。「2020年東京五輪の開催決定もあり、インバウンド(訪日旅行)拡大への道筋ができつつある日本。外国人客を集め、賢く儲けるノウハウは何か」という内容だ。

 世界各国から日本に観光客が集まり、インバウンドが沸騰中だ。日本政府観光局(独立行政法人国際観光振興機構)発表による13年8月の訪日外国人客数は90.7万人。前年同月比は17.1%増だ。1月からの累計は686.4万人に達した。

 中国からの訪日客は16.2万人。前年同月比は14.6%減と、尖閣諸島問題前の水準には戻っていないが、円安や観光ビザの免除・制限緩和、LCC(格安航空会社)の拡大に後押しされ、タイ2.3万人(前年同月比102.5%増)やシンガポール8800人(同49.9%増)などのASEANからの訪日客が急増している。また、従来から訪日客の多い韓国・台湾も、それぞれ21.5万人(同6.9%増)、19.4万人(同51.5%増)と、手堅い人気を維持しているのだ。

●観光客は増加しているが、まだまだ世界の中では少ない日本

 背景には、政府の後押しもある。03年に訪日客を10年で1000万人まで拡大するという目標を掲げていたためだ。政府は新たな目標を打ち出している。日本再興戦略(13年6月閣議決定)では「13年に訪日外国人旅行者数1000万人を達成し、さらに東京五輪が開催される20年までに、2000万人の高みを目指すとともに、30年には3000万人を超えることを目指す」という目標を掲げた。

 しかし、国別の入国者数ランキングでは日本は33位、1位フランスの8000万人、2位アメリカの6000万人、3位中国の5000万人に遠く及ばない。香港(12位)、タイ(15位)、韓国(23位)にも負けているのが現状だ。

 現在、GDPに占める観光産業の割合は3%、インバウンドを新たな成長産業として、これを諸外国並み(10%)に押し上げようという動きが出ている。実現すれば25兆円超の新市場が出現するのだ。そのキーワードが「おもてなし」だ。

●外国人に絞ったサービスの需要

 特集記事「外国人客を呼び込むおもてなし4カ条」のうち、「1.ネット口コミで広がる価値」では「台湾人の口コミで広がる京都山奥の昔ながらの民宿」や「日本よりもタイで有名な新宿の焼き肉店」などを紹介、店レベルで特定の国の観光客をつかんだ実例を紹介している。どれもサービスは日本人相手と同レベルの品質へのこだわりが「おもてなし」として受けているようだ。

 同じく「3.ターゲットを明確にする」では、ドン・キホーテのインバウンド戦略を紹介している。「ドン・キホーテ銀座本館では夕方から外国人が増え、深夜が集客のピーク」「外国人の単価は全店平均の倍の5000円超、免税利用者に絞れば10万円を超す」ということで、訪日客専用の「ようこそ!カード」も発行し、国内の会員カード同様に、一部商品を最大5割引きで購入できることから、「家電品やブランド品が安く購入できる店」として海外への口コミが広がるのだという。

 中国人や韓国人が、お土産の定番である日本製化粧品や美容小物を求めてやってくるマツモトキヨシでは、「外国人」の分類で購入データを取り、売れ筋を把握。推奨商品には外国語で日本での評判を紹介するPOP(店内説明)を付けているのだという。特定の年代に絞った日本人相手と同レベルのサービスへのこだわりが「おもてなし」として受けているようだ。

 外国人富裕層に絞るというのは京都だ。建物への高さ制限で客室数に限りがある京都は「数より質」と客単価の高い富裕層にマーケティングを絞る戦略だという(特集記事「よそ者こそ大歓迎 外国人富裕層を狙う京都」)。

 20年に向けて、外国人という分類ではなく、特定の国や層をピンポイントに狙ったインバウンド戦略が今後のキーワードになってきそうだ。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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