政府は17日の経済財政諮問会議(議長・石破茂首相)で、財政健全化の指標として重視する国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が2025年度に4兆5000億円程度の赤字になるとの試算を示した。24年7月の試算で約8000億円の黒字を見込んだが、経済対策執行に伴う支出などで修正。目標としていた25年度の黒字化は困難になった。
石破首相は会議で、「2001年度以降で最も赤字幅を縮小させる。早期の黒字化実現に向け、潜在成長力の引き上げに重点を置いた政策運営に取り組む」と強調した。
PBは、社会保障や公共事業といった政策経費を借金に頼らず税収などでどの程度賄えているかを示す指標。1992年度以降赤字が続く。01年に小泉純一郎政権で黒字化を目標に掲げたが、先送りを繰り返し、25年度の達成を目指していた。
内閣府によると、24年秋にまとめた総合経済対策のうち、能登半島地震からの復旧・復興や、中小企業の生産性向上支援などの予算執行が25年度にずれ込み、PBを約5兆8000億円悪化させる。所得税の最低課税ライン「年収103万円の壁」の見直しでも7000億円程度のマイナス影響があるとみる。好調な企業業績による税収の上振れなどで、約17兆9000億円の赤字を見込む24年度PBから大幅に改善する。
会議では26年度のPB試算も示し、安定的な経済成長が実現するケースでは約2兆2000億円、低成長では約8000億円のそれぞれ黒字を予想。安定成長の場合は黒字が続き、200%を超える国と地方の公債等残高の対名目GDP(国内総生産)比率が改善する。低成長では33年度に再び赤字に陥り、公債等残高の対名目GDP比率は悪化傾向となる。
◇基礎的財政収支を巡る政府の動き
2001年 国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を政府目標に掲げる
02年 黒字化の目標時期を2010年代初頭とする
09年 黒字化の目標時期を「今後10年以内」とする
18年 黒字化の目標時期を25年度とする
24年7月 25年度のPBが8000億円程度の黒字となる試算を公表
25年1月 25年度のPBが4兆5000億円程度の赤字となる試算を公表
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/01/17-19:44)