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精子提供サービスの実態と、ヒトのクローンにおける安全面の課題、および技術的進歩

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筆者提供
 こんにちは。江端智一です。

結婚を計算する」というテーマで、これまで7回ほど連載いたしましたが、今回は、ちょっと「結婚」から離れてみたいと思います。

 前回記事『出産しやすくする“技術的”方法~出産時期を調節、出産・育児を外部委託…』において、パートナーとの性交を前提としない出産について、いくつかの方法を検証しました。

 その中で、男性パートナーに精子をつくることができない障害がある場合に、パートナー以外の(例えば、パートナーの親戚等)のドナー(提供者)の精子を使って妊娠をサポートするAID(非配偶者間人工授精/Artificial Insemination by Donor)をご紹介しました。

 一方で、パートナーは不要で子どもだけを欲する女性が、このAIDを選択するケースがあり、それをサポートする法人もあります。

 日本ではあまり知られていませんが、海外にはこれらのビジネスが盛んな国があり、女性一人で自宅でもAIDを行える専用キットが2000円弱程度で売られているそうです。

●精子提供サービスの現場

 このような精子提供サービスを行っている、ある日本の法人のWebサイトから一部を抜粋したものを記載します。

【例1】 ドナーの募集の条件

(1)健康青年男子であること。
未婚、20~27歳、適正身長、適正体重、たばこ・麻薬を吸わない。輸血を伴う手術を受けたことがない、感染症、性病の既往症がない。

(2)医学部在学中であること。
遺伝に伴う疾患に関し充分な知識があり、倫理的、社会的配慮に関してしっかりとした意見がある。

(3)精神的に安定していること。

(4)次の検査がすべて陰性であること。
B型・C型肝炎、エイズ検査(HIV1/2)、梅毒、クラミジア検査等。

(5)癌遺伝子に異常のないこと。

【例2】 レシピエント(精子を希望する女性)へ開示される、ドナー情報の一例

(1)特徴としましては、「精子提供者を東大卒、または、東大以上の難関の国立医学部に限定」したことが挙げられます。

(2)男性の参加資格を非常に厳しくいたしました。

(3)身長は175cm以上。見た目も平均以上であり、自分の遺伝子で明らかに問題がないこと、まっとうな定職についていることが男性の条件です。

・ドナーの情報は、原則として開示されないことになっているようです。
・また、ドナーの選択条件としては、既婚者であれば夫の血液型(ABO、Rh型)のみマッチングして提供者を選択しているようです。「生まれてきた子どもに、できるだけAIDのことを知られたくない」との配慮と考えられます。
・ドナーへの謝礼についても調べてみました。平均5万円くらいのようです。無償提供のかたちを取っているものもあれば、海外では有名人(著名なスポーツマン)などの場合は、精子提供者が開示され、とんでもなく高額なこともあるようです。

 上記【例2】の「見た目も平均以上」「まっとうな定職」という表現を初めて見た時、「一体、それは誰がどうやって判断するのだろう」と違和感を覚えました。しかし、精子の提供を受けるレシピエント(女性)にとっての匿名ドナー(男性)の価値を示すには、このような表現も仕方ないのかと、妙に納得もしました。