また、「世界的にグローバル化されつつある時に、日本だけが移民反対では他の国から反発を招くだけだ」「多様性が重要な時代に、外国人を受け入れない閉鎖性はよろしくない」と、国際情勢を考慮して賛成する人も多い。さらに「すべての人間には平等に働く権利がある」など、リベラルな立場からの意見もあった。
(2)移民受け入れ拡大に反対(51.6%)
まず目立ったのは、「低所得層の移民を受け入れると治安が悪くなる」「日本語の習得が難しいのでは。そのせいで就職できずに犯罪に走られても困る」など、治安の悪化や現実的な問題を心配する意見だ。さらに「他国の人とだと、常識や情緒の面で意見が異なることは避けられないので、混乱が生じると思う」など、文化の違いによって生じる問題を不安視する声もあった。そして、少数ながら「単一民族国家が崩れてしまうのはいやだ」「純血主義だから。日本は島国で国民性を大事にするので、外国人が増えるのは好ましくない」という日本の伝統が崩れることを懸念する意見も見られた。
また、「安易に人口を増やすのではなく、もっと子育てしやすい環境を整えるべき」「日本の若者の就職先もないのに移民? それより先にすべきことがあるのでは」というように、移民受け入れ拡大よりまず先に、取り組むべき政策があるのでないかと問題提起する声も少なくない。
(3)その他(25.3%)
賛成か反対かではなく、移民受け入れのメリット・デメリット両方を考えて回答された意見が多かった。例えば、「人口減少の歯止めには必要だが、在日外国人の行動を見ていると不安になる部分もある。手放しで賛成とは言えない」「日本の国際化のためにはいいと思う。でも、日本人の就職先が減るかもしれないので、どちらがいいかわからない」といった意見などだ。移民受け入れには労働力不足を補える利点があるが、それなりにリスクも伴う。回答者全体の約4分の1程度の人は、そうした問題意識を抱えているようだ。
これまで日本は外国人の流入が比較的少なかったという事情からも、単に生活面や行政面だけでなく、国民の心情面にも係わる問題のため、慎重かつ十分な議論が必要といえよう。
(文=松原麻衣/清談社)