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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」(1月14日)

景気後退局面から脱出か “神風”とアベノミクス、00年代で最高の経済好循環もたらす

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト
景気後退局面から脱出か “神風”とアベノミクス、00年代で最高の経済好循環もたらすの画像1「Thinkstock」より

 幸いにも、ここへきて米国の早期利上げ観測によるドル高や、世界経済の減速懸念により原油価格の水準が下がっている。特に原油価格は、2014年の夏場をピークに5割近く急落している。サウジアラビアと米国が結託してイランとロシアに圧力をかけようとしているためという見方もあるが、原油下落の背景には、基本的には欧州の景気低迷や新興国の景気もたつきで需要が減少する一方、アメリカのシェール革命による増産等に伴う供給増加により、需給バランスが崩れていることがある。

 こうした状況下では、当面原油価格は低位で推移することが予想される。仮に15年の原油入着価格が前年比で3割程度割安となれば、日本経済全体で4.5兆円以上のコスト削減効果となる。従って、原油価格の急落は15年の景気の神風となる可能性を秘めている。

 確かに、ユーロ圏や中国の政策対応の遅れによる景気低迷は懸念材料だが、日本における所得の海外流出を主導してきた原油価格が低下することは、家計や企業の購買力低下を緩和し、駆け込み需要の反動減の影響を徐々に緩和することが期待される。年明け以降は景気の反転を確認する指標が増えてこよう。

●86年との類似点

 こうした中、14年の日本の経済状況については1986年との類似点を見出すことができる。背景には85年のプラザ合意に伴う円高不況がある。

 そもそも、プラザ合意に伴う事実上の通貨切り上げは、それまで外需主導で成長してきた日本経済に円高不況をもたらした。これを受けて、日本の政策当局は内需主導の経済成長を促すために積極的な財政・金融政策を実施した。また、当時は原油価格が3分の1近く下がり、結果的に旧ソ連崩壊に伴う東西冷戦終結に結び付いた。こうした積極的な金融財政政策と原油安により、日本経済は長期的な景気回復を実現するとともに、株式市場や不動産市場に過剰な資金が流入することでバブルを引き起こした。

 今回も状況は似ている。背景には、先に指摘した通り消費税率引き上げ直後の経済成長率が大きく落ち込み、景気後退局面入りしたことがある。これを受けて、予定されていた消費税率の再増税を17年4月に先送りすることを余儀なくされたが、逆に積極的な財政・金融政策が実施される可能性が高まっている。

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
第一生命経済研究所の公式サイトより

Twitter:@zubizac

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