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被災地企業の再起を邪魔する国策!全国から集結した「バイト」が起こした奇跡

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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 被災企業支援の意味合いもあるため、時給は町内の賃金水準に合わせており、決して良くはないが、これまでの実績では応募者は200名に上り、80名が実際に就業している。その内訳は男性35名、女性45名。年齢層は10代が10名、20代が50名、30代以上が20名で、若者層の流出に悩んでいる町に働き手が全国から集まった。地域別では関東・甲信越が30名、中部・東海が15名、関西が11名、九州が6名、その他が18名で、東北以外の地域から来た人が多数を占めている。

希望して正社員になった男性、派遣先の社員と結婚した女性

 復興応援バイトに求人を出した企業は10社で、5職種にわたっている。そのうち1社は復興応援バイトに8名の募集を出した。業種は特産のギンザケなど水産物の加工で、海辺にあり津波の直撃を受けた生産拠点が次々と復旧し、加工したサケがコンビニのおにぎりの具に採用されるなど販売が順調でネコの手も借りたいほどの忙しさになっていた。しかし、高校卒の新人は集まったが、中途採用はできなかった。経営者たちは、町内には廃業した会社もあるため、人はすぐに集まるだろうと楽観視していたが、見込み外れとなった。

 最初にやってきたアルバイト8名は、性別も年齢もそれまでの経歴もバラバラ。応募動機も「被災地復興のお手伝いをしたい」というのもあれば、「手に職をつけて人生をやり直したい」というのもあった。生産ラインで魚をさばく加工の補助や箱詰め、出荷の作業についたが、未経験者ばかりで指導役の社員も当初、戸惑うことばかり。それでも現場の戦力になるまで、それほど多くの時間はかからなかった。もし復興応援バイトがいなかったらフル操業はできなかったといい、経営者は「非常に助けられた」と感謝している。

 8名のうちの1名の男性は新潟県からやってきたが、3カ月の派遣期間を延長して、1年以上、働き続けた。社員も一目置く働きぶりで、経営者も「このまま残ってほしい」と思っていたが、本人もそれを希望しており、正社員として入社した。ある女性アルバイトは派遣先の男性正社員と恋に落ち、めでたく結婚した。まるでテレビドラマのようだが、両ケースとも、南三陸町の人口が震災前の水準に戻ってにぎわいを取り戻してほしいと願う関係者にとっては、町民が増えて定住人口が増加するという喜ばしい結果になった。派遣期間を終えて元の地へ帰った人も、復興途上の被災地やそこに住む人々の良さを感じてそれを全国に伝え、風評被害のような誤解を防ぐ「交流人口の増加」に一役買っている。

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