2015年12月21日、福岡大学医学部法医学教室の分析により、カフェイン入り清涼飲料水を頻繁に飲んでいた九州地方の20代男性が、昨年中にカフェイン中毒で死亡していたことが発表された。
この男性は、24時間営業のガソリンスタンドで深夜から早朝にかけて勤務しており、眠気を覚ますために、いわゆるエナジードリンクを日常的に飲んでいたという。しかし、死亡の1年ほど前から体調不良を訴え、吐いたり寝込んだりすることを数回繰り返し、ついに帰らぬ人となってしまったようだ。
同教室は、エナジードリンクの大量摂取が原因とみており、厚生労働省食品安全部は「国内でのカフェイン中毒死は聞いたことがない」としている。「エナジードリンク常用によるカフェイン中毒で死亡」という例は国内初ということもあり、このニュースは衝撃を呼んだ。
エナジードリンクは、カフェインやビタミン、炭水化物、ガラナなどの興奮性成分が入った炭酸飲料で、アメリカでは10~13年の間に副作用で約5000人が救急搬送されたという報告もある。実際、エナジードリンクおよびカフェインは、健康にどのような影響をもたらすのだろうか。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏に聞いた。
「少量のカフェインには、脳を刺激して気分をスッキリさせる作用があります。コーヒー、紅茶、日本茶などの嗜好品にカフェインが含まれているのはよく知られていますが、実は薬にも使われており、ドラッグストアなどで販売されている『総合感冒薬』に配合されています。ぼんやりした頭をスッキリさせ、風邪が治ったような気にさせる効果があるからです。
嗜好品に含まれるカフェインの量は、コーヒー1杯(150ミリリットル)で約100ミリグラムです。エスプレッソはカフェインの量が多めですが、カップが小さいため、1杯当たりの含有量は普通のコーヒーとほぼ同じです。ほかに、日本茶の玉露は160ミリグラム、紅茶は30ミリグラム、番茶は15ミリグラムほどです。
問題のエナジードリンクはアメリカ生まれで、『運動能力が増す』『ダイエットになる』『精力が増強する』などの宣伝文句が受けて、急速に人気商品となりました。日本で市販されているものは、1本当たり80~160ミリグラムのカフェインが含まれています。
いわゆる栄養ドリンクにも、1瓶当たり50ミリグラムほどのカフェインが含まれていますが、最近では同160ミリグラムの製品も出回っているため、要注意です」(岡田氏)