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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

東京チカラめし、なぜ見かけなくなった? 餃子の王将、床ベタベタでも繁盛のワケ

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

「人気が長続きしない店舗の共通の特徴は、他店より劣った部分を顧客に強く印象付けてしまっている点です。接客を伴うサービス業では、他店より顕著に劣っている要素が顧客に感じ取られてしまうと、それだけで顧客がリピートする気分には大きなマイナスとなってしまいます。顧客は、わざわざマイナス要素が目につく店舗に再び行く必要はないと考えるからです。つまり、コンセプトの斬新さだけに頼ってしまうと、顧客に再来店したいという動機が芽生えないため、長期的な優良店にはなりにくいのです」(同)

顧客のニーズとコンセプトの一致が生む人気店

 だが、例えば故・佐野実氏が流行らせたラーメン店「支那そばや」では、佐野氏が味を追求するあまり、接客でお客さんをもてなそうという姿勢は皆無だったという。これは一般的な飲食店の常識から考えると非常に不利なようにも思える。

「店舗のコンセプトや主人の姿勢が顧客の期待しているイメージと一致しているのであれば、必ずしもフレンドリーな接客が必要というわけではありません。ラーメン好きからすれば、ただただおいしいラーメンを食べたくてお店に行くわけですから、そこに全力を注ぐ職人の姿勢はむしろ好意的に受け入れられます。『餃子の王将』は、店内の床がベタベタ、にんにく臭いなどとよくネタにされますが、中華料理を安価でたくさん食べたいという顧客のニーズからすれば、そのくらいは覚悟の上、他店と比較したとしても想定内なのでしょう。顧客の期待を裏切らないサービスが、きちんと提供されていることが重要なのです」(同)

 つまり顧客のニーズをしっかりと理解するというのも、リピーターを増やす上で非常に重要なポイントなのだ。

「それを見誤ったのが、近年低迷の続く日本マクドナルドです。苦境の打開策を模索しようとさまざまな新しいシステムやメニューを打ち出しましたが、経営の軸がブレブレのなかでの施策だったので、顧客はついてきませんでした。軸を動かすのではなく、コンセプトを一貫させながら進化をしていかなければ、顧客に店舗やブランドのイメージさえも湧かせられなくなってしまいます」(同)

「負けに不思議の負けなし」という言葉があるが、凋落する店舗にはそれなりの理由があるようだ。しかし、理由がわかっていたからといっても競合店は数多く存在し、顧客はいつだって数ある店舗の中から比較して行く店を決めている。外食業界においての人気の定着というのは、それほど難しいのであろう。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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