新年早々ですが、今日は医療保険制度の話題で盛り上がっています。「極論君」は「医療保険制度は早晩崩壊する」と言い、「非常識君」は「これからは、個人の責任で保険会社が用意する医療保険に加入すればよいのだ」という論調。「常識君」は「日本は素晴らしい国だから、今の医療保険制度が崩壊することはない」という楽観論です。
さて、まず医療保険制度について説明しましょう。厚生労働省のHPには、次のように記載されています。
・我が国は、国民皆保険制度を通じて世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現。
・今後とも現行の社会保険方式による国民皆保険を堅持し、国民の安全・安心な暮らしを保障していくことが必要。
そのHPに掲載されている円グラフを見ると、日本の国民医療費の負担構造(財源別)がわかります。保険料の被保険者分が28.4%、保険料の事業主分が20.2%、国庫が26.0%、地方が12.4%、そして患者負担が12.3%です。つまり保険料として48.6%、公費として38.4%、残りが患者負担で12.3%となります。
そして概要の図を見ると、75歳以上が1割負担(現役並み所得者は3割負担)、70歳から74歳は2割負担(現役並み所得者は3割負担)、義務教育就学後から69歳が3割負担、義務教育就学前が2割負担と書いてあります。
医療費は39.2兆円で、患者負担が4.7兆円、保険料が19.1兆円とも書いてあります。39.2×12.3=4.82ですので4.7とならないのがちょっと不思議なのですが、この概要が正しい前提で話を進めましょう。
国民皆保険が崩壊する?
まず、医療費は年々増加しています。約50年前の1965年は医療費が1兆円を超えた年でした。そして50年経った今、それが40兆円近くに跳ね上がりました。当たり前です。医療は進歩しているからです。医療の進歩はこのまま続くでしょうから、医療費がますます増加することは自明の理です。
そうであれば、極論君が言うように「今の医療保険制度は早晩崩壊する」というコメントに賛成せざるを得ません。高齢化が進んで労働人口が減少し、そして高齢化による医療費がさらに医療費を圧迫するでしょう。常識君の「日本は素晴らしい国だから、今の医療保険制度が崩壊することはない」という夢のような理屈が実現するには、医療費の増加を補うほどの経済成長が見込めればいいのです。
この点に関して私は専門家ではないのでコメントできませんが、雰囲気的にはそんなことは起こりそうにありません。でも起こるかもしれません。