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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

目前に迫った消費再増税、家計4.6兆円の負担増も…景気が相当な腰折れのおそれも

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 次回の消費増税の負担額を試算すると、消費増税そのものの景気へのダメージは前回の半分程度になると判断される。参考のために1989年度と97年度、2014年度、それから次回17年度に2%引き上げた場合のそれぞれについてマクロの負担額を見ると、89年には物品税の廃止等の減税もあり、ネットの増税幅は1.8兆円にとどまる。当時はバブル景気末期で景気の勢いもあったため、結果的に影響は軽微だったといえよう。


 それに対し、97年度は消費税率の引き上げ幅自体は2%で、負担増は5兆円程度と限定的であった。しかし、特別減税の廃止や年金医療保険改革等の負担が重なり、結果的には9兆円近い大きな負担となった。さらに、景気対策がないなかで同年6月にアジア通貨危機が起こり、同年11月に金融システム不安が生じたため、景気は腰折れをしてしまった。

 確かに、97年度は消費増税以外の負担増もあったため、消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない。しかし、前回の消費税率3%引き上げは、それだけで8兆円以上の負担増になり、家計にも相当大きな負担がのしかかった。

 次回の消費増税の負担額は、財務省の試算によれば17年4月から軽減税率を導入せずに消費税率が10%に引き上げられると、最終的に税収が5.6兆円増えることになる。これは、一方で酒類・外食を除く食料を軽減税率の対象品目とした場合に必要な財源が1兆円となるため、家計全体では4.6兆円程度の負担増になることを示唆している。

 また、14年の総務省「家計調査」を用いて、具体的に平均的家計への負担増額を試算すれば、年間約4.6万円の負担増となる。同様に、世帯主の年齢階層別の負担増額を算出すると、世帯主の年齢が30~60代の世帯では4万円/年を上回るも、世帯主が20代以下か70代以上になるとその額が4万円/年を下回る。さらに、世帯の年収階層別では、年収が1500万円以上の世帯では負担増額が10万円/年を上回るも、年収200万円未満ではその額が2万円/年を下回ることになる。

軽減税率


 なお、軽減税率導入により1兆円の財源が必要になるといわれている。自民党と公明党の協議により、総合合算制度の見送りで4000億円の財源確保は可能となっているため、残りの6000億円の財源をどう確保するかが今後の課題となる。自公の協議では、あらかじめ軽減税率のために赤字国債は発行しないと決めているため、たばこ増税や社会保障サービスの縮減などを通じて軽減税率とは別に負担増になる可能性もあることには注意が必要だ。