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江上隆夫「ブランド戦略ディレクターのぷらっと未来散歩」

5年以内にクリエイティブな仕事すら人工知能に奪われる可能性…人間は制御できるのか

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「Thinkstock」より

人工知能時代に働くって、どういうことなんだろう


 少し前に、米紙ニューヨークタイムズのインタビューでデューク大学のキャシー・デビッドソン教授が語った以下の言葉が話題になった。

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」

 これはデジタルイノベーションやインターネット社会の発達を前提にしているが、なかでも最大のインパクトは人工知能の発達がもたらすだろう。

『無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか?』(江上隆夫/SBクリエイティブ)
 まったくの素人で無謀とは思いつつも、今回は人工知能の未来について考えてみたい。今私たちが取り組んでいる仕事内容だけではなく、労働観まで大きく変わるかもしれないからだ。

 筆者はコピーライターやクリエイティブディレクターを30年以上生業にしているが、こうしたクリエイティブの世界に早くも人工知能の影響が現れてきていることに驚いている。スタッフには常々、「簡単なコピーやアイデアの発案は、そのうち機械が代行するようになる」「人の心理がわかり、コンサルティングやコーディネーションができるクリエイターでなければ、生き残れない」と言っている。それでも最低4~5年は現状の仕事スタイルが維持できると根拠なく思っていたのだが、それが間違いであることに最近気づいた。

 なぜなら、ロゴやキャッチフレーズの自動作成サイトが数多く現れているからだ。今はまだ素人に毛の生えたレベルだが、人が手を加えればそこそこ使いものになる。もし自動学習ができる人工知能をこの世界に投入し、世界中のロゴやキャッチフレーズをロボットで収集し、ユーザーの膨大な量の反応をネットから解析していけば、目的に対して最適化されたロゴやキャッチフレーズの作成が可能になる。類似を可能な限り避けるプログラムを組み込めば、東京五輪エンブレムをめぐる問題のような事態も起きなくなる。つまり、プロジェクト全体をディレクション、プロデュースできないコピーライターやデザイナーは早晩仕事がなくなっていく可能性が高い。

 米ハリウッドの映画づくりでも、ライティング・ソフト使って脚本執筆作業をサポートすることが普通に行われていると聞く。機械では代行できないと思われていたクリエイティブ領域も、人工知能の稼働領域になる可能性が大なのだ。