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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

歩行能力、心臓病死亡リスクと高い関連性…老化の進行、若い頃の生活が多大に影響

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
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 歩行能力には、からだの老化の程度が映し出されている。続けて歩くのがやっと、あるいは続けて歩けないグループは老化の進行が早いグループである。すなわち、この研究はシニア期の心臓病は“老化そのもの”が原因になることを示している。心臓病はシニアの主要死因である。日本では65歳以上の女性の死因の第1位が心臓病である。予防に注意を払わなければならない疾病である。この先行研究データは米国のデータであるが、筆者らの日本における疫学研究でも同じような結果が得られている。

 近年、研究が進むに従い、心臓病だけではなく脳卒中や肺炎でも同様な関係が認められることがわかってきた。

 シニア期になると、がんのリスクが高まる。すべてではないが、がん自体を老化による変化と解釈することができる。背景には老化による細胞性免疫の低下がある。

生老病死

 齢を重ねるといろいろな病気に罹りやすくなったり、コントロールできていたが病気が急に悪くなったりする。紹介した研究データをみると、合点がいくのではないだろうか。

 シニア期は老化が生活を運営するための総合力と多様な病気の両者のリスクファクターになる。シニアの健康管理では、病気の発症や悪化を老化の結果と捉える視点が必要になる。そのため、老化の進み具合をしっかりモニターすることがとても重要な意味を持つ。

「生老病死」とはよく言ったものだ。極めて的を射た言葉である。

 老化への関心は若い時期から持っておいたほうがいい。老化への耐性は若年期のライフスタイルの影響を受けるからである。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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