国立社会保障・人口問題研究所がさまざまな分析を公表しており、非常に興味深いものも多々あるので、いくつかを紹介してみたいと思う。
まず、「多地域モデルによる都道府県別将来人口推計の結果と考察」。これはまさしく、47都道府県を2010年の国勢調査による都道府県別男女各歳別人口を基準として、11年から60年までの各年の人口を男女年齢各歳別に推計したもの。これによると、60年の日本の総人口は8846万人となり、10年時点の総人口から約4000万人減少する。60年で人口の多い県と少ない県は以下のように推計されている。
【人口の多い県】
東京都:1070.6万人
神奈川県:705.9万人
大阪府:613.1万人
愛知県:559.4万人
埼玉県:546.9万人
【少ない県】
鳥取県:35.2万人
島根県:40.9万人
高知県:43.3万人
徳島県:44.8万人
福井県:50.4万人
単純に人口の多少を見ると上記のようになるが、実は10年に比べて人口の減少する割合(増加する都道府県はない)を見ると別の姿が現れる。指数は10年を100とした場合。
【減少幅が小さい県】
沖縄県:88.0
東京都:81.4
滋賀県:79.8
【減少幅が大きい県】
秋田県:46.6
青森県:51.9
岩手県:53.9
山形県:53.9
こうして見ると、東京都は人口流入により減少幅が小さいのはわかるが、沖縄県と滋賀県というのは、意外な感じがする。この両県は実は出生率が高いため、減少幅が小さい。一方で、減少幅の大きい県としては、東北勢がほぼ全滅状態だ。秋田県は人口が半分以下になると見られており、その他の県も半分程度まで人口が減少すると推計されている。では、60年の出生数と死亡数の推計はどのようになっているのか。指数はいずれも11年を100とした場合。年は死亡数がピークを迎える年。