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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

日本経済、2期連続マイナス成長で危機的状況突入か…株価下落速度が史上3番目

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首相官邸 HP」より
 足下の経済動向について、筆者は非常に危機感を抱いている。背景には、年明け以降の株価の下落速度が歴史的に見ても非常に大きかったことがある。実際、過去2カ月間のピークからボトムまでどの程度株が下がったかを下落速度が大きい順に並べ替えると、過去最速の下落速度を記録したのが2008年のリーマン・ショックであり、その次が1990年代前半のバブル崩壊となる。実にその次が今回の年明け以降の株下落であり、2000年以降のITバブル崩壊を凌ぐ落ち込みという意味でも、非常に大きなマーケットの調整が起こったことがわかる。


 さらに1年前との比較で見ても、1年前の日経平均株価は1万8000円台から1万9000円台へと、上昇基調にあった状況に対して、逆に今年は大きく値を下げたということで、真逆の動きになっている。

 こうした状況は、すでに実体経済にも影響が出ている。事実、街角景気指数とされる景気ウォッチャー調査を見ると、現状・先行き判断DIとも8カ月連続で好不調の分かれ目となる50割れとなっている。時期的に見ても、チャイナショックを発端としたマーケットの去年の夏以降の混乱というのが大きく影響していることが推察される。

 また、経済成長率を見ても、2015年10-12月期はマイナス成長となっている。さらに経済成長率は鉱工業生産の変化率と関係が深く、これを見ると生産計画ベースで1-3月期の鉱工業生産が前期比マイナスになっていることからすると、場合によっては経済成長率が2期連続でマイナス成長となる可能性もあり、非常に厳しい状況といえる。

 さらに厳しい状況としては、アベノミクスの根幹はいかに好循環で賃金を上げるかというところだが、そこに赤信号が灯っている。

 春闘の賃上げ率の先行指標として、労務行政研究所が2月初旬に公表した賃上げ率を見ると、去年よりも下がる予測になっているが、これは調査期間が去年12月から年明けの1月前半までだったことからすれば、恐らく実際の賃上げ率はさらに下がる可能性が高いと考えられる。17年ぶりの水準まで賃上げ率が上がった去年でも、毎月勤労統計ベースの名目賃金上昇率が+0.1%だった。それよりも賃上げ率が今年下がるということは、今年の名目賃金はマイナスの可能性が高い。つまり、このまま放置しておくと、今年の日本経済は相当厳しいことになることが想定される。